近年、急速にシェアを伸ばしている分割ペイメントビジネスにAffirmという企業がある。
Affirmはサンフランシスコ初のフィンテック企業で、これまでに10億ドル以上を調達しているユニコーン企業。後払い分割払い(日本でいうと信販系の分割払い)をリアルタイムで与信審査し、同時に利率もはじき出す。一般的な与信審査機関のデータに同社のアルゴリズムを加えて実現しているという。これまで、分割払いの与信審査には1日程度の時間を要したため、小売業ではチャンスロスとなっていたが、同サービスによってこれがなくなることで決済率が上がる。また、同社の与信照会はクレジットヒストリに影響しない仕組みをとっているので、消費者の与信スコアが下がらない点でもメリットがある。(何度も与信がかかったり、与信で落とされた履歴があると悪影響が出るため)
アメリカの小売業専門ニュースRetail Diveによると、WalmartはそのAffirmと提携、全国のほぼ4,000のスーパーセンターで分割払いで購入代金を支払うオプションを提供すると3月に発表した。また、今後数週間以内にWalmart.comの支払いオプションとしてAffirmの提供を開始する予定であると発表。食料品、アルコール、タバコ、薬品などの一部の商品を除き、価値が150ドルから2,000ドルまでのアイテムに対して、分割払いオプションが提供される。消費者はAffirmに承認後、3、6、または12か月の分割払いの支払い条件から選択でき、毎月支払う正確な返済額が表示され、利子はドルで表示され、延滞料はない。*1
当DX Navigatorが確認したところ、Walmart.comでは既にHayneedle(ホーム&ガーデンのEC)とAllswell(マットレスのEC)など、主に高単価商品の決済では、すでに利用可能となっている。
日本でいえば、メルペイ後払いやZOZOTOWNのツケ払いに似たサービスと言え、先述のRetail Diveによると、現在Affirmは旅行のExpedia、D2Cメガネ販売のWarby Parkerなどど多くの著名企業で活用されており、スウェーデンのKlarnaやオーストラリアのAfterpayなど他国の決済サービスもアメリカ市場に進出している*2。欧米ではクレジットカード業界が決済手数料主体からマイクロレンディングと言われる小口融資による収益化にシフトし始めており、この夏にはAppleも会費手数料無料のApple Cardを発行を打ち出している。
引用情報:
*1,*2
Retail dive.com(2019), Walmart and Affirm team for installment payment service, retrieved from
https://www.retaildive.com/news/walmart-and-affirm-team-for-installment-payment-service/549410/参考情報:
Walmart(2019), Affirm and Walmart Announce Omnichannel Partnership, retrieved from
https://corporate.walmart.com/newsroom/2019/02/27/affirm-and-walmart-announce-omnichannel-partnership
Klana(2019)
https://www.klarna.com/us/
Afterpay(2019)
https://www.afterpay.com/