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テンセント出資の音声対話RPA、硅谷智能(Silicon Intelligence)が大規模資金調達か

作成者: DXNavigator 編集者|Nov 4, 2019 8:00:15 AM

現在、中国におけるRPA熱は高く、特に金融セクターでの活躍が注目されている。

南京に拠点を置く硅谷智能(Silicon Intelligence)は、その中でも注目される企業の一つであるが、その理由は中国テックの巨人、テンセントが出資している点が大きい。さらに、硅谷智能はこの9月に、CMB (招商銀行:China Merchants Bank International) の子会社であるCMB Capitalがリードする、シリーズB+ラウンドを数億元規模で調達すると発表した。

硅谷智能は、AIを駆使した音声認識、コンピュータボイスによる自動応答をベースとしたサービス・ソリューションを提供する企業で、2017年に設立されたばかりのスタートアップである。自動音声認識や音声合成、音声感情認識などに強みを持ち、フロントオフィス系サービスの効率化に貢献する技術とサービスを提供している。同社は、2019年4月にシリーズBでテンセント資本を受け入れ、関連会社として認識されるようになった。EO Intelligenceの調査によると、同社は2019年に1億元から3億元(1400万〜4200万米ドル)の収益達成が推定されている。

Fintechは中国で活況を呈しており、銀行や保険会社のアウトバウンド/インバウンドコールの自動応答化が進められている。中国メディアEqual Oceanの記事によると、同社のスマートマーケティングプラットフォームは、China Construction Bank(中国建設銀行), Bank of China(中国銀行), SPD Bank(上海浦東発展銀行)など、国営銀行および国内の大手商業銀行の1000万件以上のアウトバウンドコールを行っているとされ、硅谷智能は同サービス領域におけるフロンティアかつリーダー的な存在になっている。

今回の投資は、「八行五保」と言われる中国国内再大手金融かつ民間系最大手の招商銀行の投資子会社のCMB Capitalから投資を受けている点がポイントである。同銀行は外国人でも口座が作りやすく、WeChatPayとの連携に優れていることもあり、急速にその存在感を高めている。硅谷智能への出資は、同行の各種金融サービスにおける様々な対人応答機能(口座開設、問い合わせ、審査など)の自動化によるコストダウンやオペレーション効率の向上を期待してのものと思われる。また、硅谷智能は自動応答サービスで得たデータをビッグデータ解析による意思決定支援に活用する戦略を早くから打ち出しており、WeChatPayなどでの決済行動を加味した、新しい金融信用構築の基盤となりうる可能性が注目されている。

引用情報:
硅谷智能(Silicon Intelligence, 2019)
https://www.guiji.ai/

参考情報:
Equalocearn.com(2019), Tencent-backed Silicon Intelligence Raises Hundreds of Millions from CMB, retrieved from
https://equalocean.com/ai/20190904-tencent-backed-silicon-intelligence-raises-hundredsof-millions-from-cmb