Amazon、現金払いに対応。非カードホルダーの市場拡張か

VoxなどのアメリカのオンラインメディアはAmazonの現金払い対応について報じた。同メディアによると、Amazonはこの9月にAmazon Paycodeと呼ばれる支払いオプションを発表。これまで中流層以上をマーケットとしていた同社は、低所得者に向けたアピールを始めたとしている。PayCodeを利用すれば、Amazonでの注文後24時間以内にWestern Union1500店舗のいずれかで注文代金を支払うことが出来る。すなわち、クレジットカードはいらない。Amazonはかねてより、7-ElevenやCVSで現金チャージを可能にしたAmazon Cashに続き、クレジットカードを持てない消費者への購買喚起となる。*1

実際のところ、アメリカの低所得者層にとってWalmartには全てがある。安い物資だけでなく、プリペイドカードも買えるし、現金の送金も可能だ。メキシコ移民が家族に送金するシーンをWalmartで見ることは珍しいことではない。中堅から富裕層を相手にしていたAmazonにとって、巨人Walmartとの棲み分けは悪くない状態だった。しかし、ここ数年のWalmartのデジタル市場での躍進を受けて、Amazonはこのままでは居られなくなったのかもしれない。

アメリカにおけるAmazon Primeは年会費99ドルと日本よりも高い。よって、利用者の平均世帯年収も高めで10,000ドル近くと言われている(給料も高いが物価も高いアメリカでの世帯年収1000万円超えは、高所得者層とは言えない)。2018年度の年間売上で、Walmartに次ぐ全小売業の2位に上り詰めたAmazonにとって、その伸びしろはとうとうWalmartとの全面対決となった。そして、そのWalmartは2016年以降のデジタルブランドの積極的買収と設備投資で、Amazonの顧客層に本格進出を始めている。アンバンクトと言われる、銀行口座を持たず、カードを持てない層、すなわちWalmartが囲い込んできたマジョリティへのアプローチこそがAmazonの主要な伸びしろと言えるかもしれない。Walmartなら、店舗で現金をWalmart Payアプリにチャージすれば、Walmart.comで買い物もできるし、配送料を払わなくても、夕食の食材買い出しのついでに店舗でピックアップすることも出来る。Amazon Lockerの増設やWhole Foodsの買収も、Amazonの最大の弱点であるピックアップ拠点確保による「出口」増加戦略の一貫であり、Amazon CashやPayCodeは現金決済対応という「入口」への打ち手と言える。そして、Walmartはもともとこれらを全て持っている。

いずれにせよ、デジタルとリアル、両巨人の戦いが小売業の新しいスタンダードを創り上げていくのは間違いないだろう。

引用:
*1 Vox.com(2019), Amazon will start letting people pay with cash because not everyone has credit cards
https://www.vox.com/recode/2019/9/19/20872202/amazon-paycode-cash-walmart-unbanked-western-union

参考記事:
Amazon.com(2019), Shop on amazon, pay in cash
https://www.amazon.com/PayCode/
Western Union(2019), Pay for your Amazon.com purchases at Western Union.
https://www.westernunion.com/paylocal/

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