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マネジメントの責任業務の少なくとも半分は「意思決定」であると筆者は考える。そして、むしろその比重は大きいほうが良いとも考える。しかし、管理業務多忙というエクスキューズの下、意思決定を曖昧にしてきたマネジメント層は戦いの矢面にさらされてしまうことになる。なにより、不慣れなデジタル化の再学習負荷と、不得意な領域でパフォーマンスを落とす不名誉は避けたいだろう。こういった背景が生み出す非積極的姿勢が組織全体の変化への抵抗となっていく。これは、筆者がデジタルの世界に入ってから約20年、脈々と続く日本の現実であり、改革を牽引したときに味わった苦い経験でもある。ホワイトカラー生産性がいつまで経っても向上しない理由の背景は、多くのマネジメントが管理業務に固執している弊害でもある。

コロナ撲滅前である「Withコロナ」の数年がもたらす「非接触」「非移動」は、強制的に業務の電子化を要求するようになるだろう。もはや、どんな理由をつけて抵抗しようと、電子化を加速しないと企業はWithコロナを乗り越えられない。たかだか3ヶ月の「自粛」でも、歴史的な経済停滞を生み出すのだ。第二波発生がほぼ確定している現在、この強烈な引波に旧スタイルで踏ん張り続ける企業はほとんどないだろう。

管理業務において、今後押印や承認ルーティンの時間的コストは限りなくゼロに近づく。電子契約サービスの盟主でもあるクラウドサイン(弁護士ドットコム)がぐんぐん株価を上げているのがその表れだ*8。承認のための資料作成、郵送、保管という事務作業も一気に軽減される、また、リモート会議が一般化すれば、会議招集や会議室の確保に時間を割くことも無くなるし、会議資料の印刷も必要なくなる。プロジェクト管理も営業進捗もダッシュボードで確認すればよい。判断に必要な情報が足りなければ、何を持って判断したいかを明確に指示すれば、今どきの管理ツールは即座に反映可能だ。そもそも判断に必要なデータが取得できないなら、善後策を現場に指示しつつ、経営レベルにデータ環境の改善を進言すべきである。管理業務の電子化は、マネジメントの意思決定への時間配分を確実に大きくし、同時に、機械にやらせれば十分なナンセンスな業務から部下を解放する。多忙な管理ルーティンという逃げ道を失った管理重視型マネジメントは、その意思決定力不足を露呈することになる。多くのメディアで「コロナが無能な管理職を露呈している」と歌っている。Withコロナのフェイズにおいて、それは電子化に対応できない旧世代管理職のあぶり出し、というニュアンスをまとっている。が、Afterコロナは、管理業務という逃げ道を失った管理重視型マネジメントが意思決定力不足を突きつけられ、淘汰されていく時代となるだろう。

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