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Afterコロナはこの状況を大きく変えることになるだろう。「非移動」「非接触」によって顧客訪問なしで営業する術が強制的に要求されるようになり、優秀な営業職は「これでも案外いける」ことに気づいているはずである。顧客情報収集はインターネットでかなりできる。幸か不幸か、顧客側もリモートを要求するので、提案書を人数分印刷しなくてもいいし、電車や車で移動する手間もない。WEBからの問い合わせはインサイドセールスが「温めて」くれる。問い合わせに至るまでのサイト内の閲覧履歴やメールの開封履歴もデータ化され、初見訪問の段階でかなりの情報を把握できるはずだ。マーケティングオートメーションが実装されれば、フォローアップが漏れることもない。これまで、コミュニケーション「量」のために費やされた時間は格段に短縮され、営業の役割は、データ分析を武器に、少ない接触量でクローズに導くコミュニケーションの「質」に集約されていく。これまで、「量」をエクスキューズとしていた営業は淘汰されていくことになるだろう。ちなみに、エースと呼ばれる営業達は昔からこの「質」を重要視していたので、Afterコロナでも更に活躍するだろう。

デジタルコマースやマーケットプレイスの役割は、今後非常に大きくなる。無店舗24時間の販売体制を持てることは重要であり、リアル店舗が自粛を強いられた時の生命線になる。B2Cの消費財ならAmazonや楽天などへのデジタルモール出店は極めて重要になるし、嗜好品ならば自社D2Cの準備は必須である。自社でサーバーを立てなくともShopifyなどのクラウドサービスはいくらでもあり、在庫管理から配送までをカバーするフルフィルメントサービスもどんどん増えている。それこそ「2025年の崖」に象徴されるようなレガシー直結型のコマースがなくても十分にサービスイン可能だろう。B2Bならば、SAP Aribaなどが手掛けるエンタープライズ向けだけでなく、RFP360やScout RFPのような調達プラットフォームが浸透し始めており*13、担当営業はこのプラットフォームを駆使した取引(RFPの授受から提案、決済まで)を行うことになる。店舗販売は2018年頃からショールーミングやクライアンテリング*14のテクノロジーが欧米を中心に叫ばれている。顧客はスマホを使って店舗にログインし、必要な情報を取得したり、決済や配送注文を行う事ができるし、代替候補(色やデザインの違い、同じ用途の別ブランドなど)の選択肢を自動提案することすら可能である。Amazon Goのようにセンサーを駆使したキャッシュレス無人店舗だけでなく、無人ショールームや少人数での効果的な接客が可能になり、かつこれらの顧客行動データはデジタルコマースやマーケティングに活用されて、再購買や予約購買を促す。

このように、営業・販売行為に求められていたアナログ行為はかなり圧縮されることになる。ちなみに、このことは、営業・販売のアナログ価値が消失することを意味しない。むしろアナログの提供価値はより高度なものが要求されるだろう。コロナ禍の自粛によって、顧客もまた、意味のないコミュニケーションの無意味さに気づいている。コロナを体験した市場は、短い時間で的を射るような、営業の「質」を求めるようになるだろう。

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