こんなもの、年末になればセールのためにどこのおもちゃ屋でもやっていることだ、と思うかもしれないが、Walmartの場合は一捻り入れている。最大のポイントはWalmart.comの存在。基本的にこのランキングはWalmart.com上でマークされたウィッシュリストをベースにしている。一般ユーザーのリストへの追加はもちろん、子供たちを対象にした「サンタさんが何を持ってきてくれたら嬉しいか」のフィールドテストによって得られたスコアも加算されている。
ここ数年、クリスマス商戦のおもちゃ市場は激変している。その理由の一つが2017年のToys ‘R’ Us(トイザらス)の破綻である。同社の破綻はデジタルシフトできなかった小売業破綻の代表格として取り沙汰される事件だが、その後トイザらスの抜けた穴を埋めたのはAmazonとWalmart、そして都市部に強い小売大手のTargetである。トイザらスユーザーがその代替先として選んだ商流はAmazonが34%、Walmartが31%、そしてTargetが18%だという*2。
そのWalmartはオンライン上での「おもちゃのバーチャルお試しサービス」ともいえる、Walmart Wonder Labから開始している。そして、件の"Top-Rated by Kids Toy List”のスコアはまた、このWonder Labから登録されたウイッシュリストを参考にしている。
Walmart Wonder Labは、おもちゃ需要を生み出すキッズ・エンタメのフィールド変化に対応したアイディアといえるだろう。コロナ禍に改善の兆しがやや見え始めたとはいえ、クリスマスプレゼント候補を視察するためにウインドウショッピングをするにはまだ不安が大きい。eコマースは購買ルートとしては最適だが、子供たちが「これほしい!」と沸き立つには情報量が少なすぎる。奇しくも、トイザらス破綻後のマーケット奪取とオンラインエンタメ時代への対応のために打ち出したWonder Labは、コロナ禍に見事にフィットした。
ともあれ、冒頭のテーマに戻れば、アメリカの子供が欲しがるおもちゃは、日本とはかなり違うことが一目瞭然である。言い換えれば、日本にも同じ需要はあるかもしれない。鬼滅の刃の爆発的ヒットが落ち着いた今、このクリスマスは何が売れるのか。コロナ渦の中でどう対応するのか。学ぶところは多い。
引用情報:
*1
Walmart(2021), Walmart Reveals the 2021 Holiday Season’s Most-Wanted Toys with 8th Annual Top-Rated by Kids Toy List, retrieved from https://corporate.walmart.com/newsroom/2021/09/29/walmart-reveals-the-2021-holiday-seasons-most-wanted-toys-with-8th-annual-top-rated-by-kids-toy-list
*2
Business Insider(2018), Amazon, Walmart, and Target are leading the toy race this holiday season, retrieved from
https://www.businessinsider.com/amazon-walmart-target-lead-toy-race-2018-11
参考情報:
Walmart Wonder Lab
https://walmartwonderlab.com/