前回のコラムで、新型コロナはDXを加速する要因となりえる、ということを書いた。キーワードは「非接触」が生み出すリアルとデジタルの使い分けと、「非移動」が生み出す業務のリモート化が暴くナンセンスなタスクであり、コロナ禍はこの2つの価値基準の再考を人々と社会に突きつけることになる。すなわち、消費者も労働力も、強制的にデジタル体験に接触させられ、食わず嫌いに気づき、同時にリアルであるべきものの価値に気づくことになる。機械に任せて十分な無駄な労働の存在にも気づき、その労働が生み出す高コスト体質やナンセンスさに気づき、同時に、人が介在すべきサービスの価値にも気づくことになる。
これらの「気づき」については、一定量の人たちはとっくに気づいていたことである。しかし、様々な理由で多くの人達はこれを黙殺し、シフトを拒んできた。急速な変革や、デジタルという無機質さ、新参者が提供する軽薄(と感じる)なサービスへの嫌悪感だったり、貧困や困窮だったり、様々な理由がそこにはある。ただ、その中で最も多いものは、「非積極的賛成」というものであろう。デジタル化は賛成だけど、今のままでも改善できることはいっぱいある、という、変革には賛成という意思を示しつつも、自らは能動的に変革に参加しない、というふるまいである。実際、知らない領域を理解することは大変である。まして、数十年積み上げてきた習慣を変えるということ自体、短期的には確実に負荷がかかる。何より、改善によって空いた時間の有効な使い道がわからない。こういった意識の保守的マジョリティ達に対して、コロナは強制的なチェンジを促すことになる。習慣や価値観を変えないと命に関わる。この強烈な圧力が、人々に変化を強要し、体験済みにし、価値観のシフトを加速させることになる。
このことは、マネジメントに求められる素養大きな影響を及ぼす。今回は、ビジネス・マネジメントの視点でAfterコロナを考察してみたいと思う。
「マネジメントとは何か?」と問えば、様々な答えが返ってくるだろう。日本国内でも、ましてや世界各国と比較すれば、この言葉が内包するニュアンスは変わる。日本語に訳せば「管理職」となるので、多くの日本人はマネジメントの役回りを「管理」と答えるだろう。実際、英語のmanagementにも、「管理」を意味するcontrolやgovernanceというニュアンスが入るので、「管理」が語彙に含まれていることは間違いない。一方で、directionやhandlingという「方向づけ」や「操作」といったニュアンスも含まれている*1。すなわち、組織を率いてどこかの方向に動かす仕事もまた、マネジメントの責任範囲である。しかし、こと日本においては、マネジメント=管理業務と置き換えられている節がしばしば見受けられる。言い換えれば、上からのお達しを受けて、組織を維持管理することがマネジメントの第一義となり、同等以上に重要なはずの「意思決定」、すなわち組織が歩む方向を定め、鼓舞し、成果を出しやすくして、目標に導く、というニュアンスが希薄である、と筆者は考える。コロナ禍は、「管理」を重視することで「意思決定」から逃げる管理職の存在に周囲を気づかせる。トップ、上司、部下、取引先が全方位的に、彼らに気づく。
コロナ禍がもたらした強制的な「非接触」「非移動」は、テレワーク導入の手応えを経営者に与えたはずだ。案外まわるんじゃないか、と。
日立製作所は5月26日、政府が提唱する緊急事態宣言後の新常態(ニューノーマル)を見据え、多くの勤務形態に在宅勤務を標準化する方針を打ち出した。2020年を移行期間とし、2021年4月からは在宅を標準とした勤務形態を正式適用するという*2。ネット企業老舗のGMOや野菜宅配D2Cのオイシックス・ラ・大地など前衛的な企業が積極的にニューノーマル対応していくのは想定の範囲だが*3、社員数30万人を超える日立の挑戦は驚きである。富士通も当面の間、出勤率を最大25%に抑えるという*4。情報産業とはいえ、大手製造業がニューノーマルへの積極対応に踏み切った意義は大きい。筆者の周辺の中堅企業やスタートアップも、続々とテレワーク推奨に舵を切り始めている。
そもそも、テレワークで仕事が回るなら、経営者にとってそれは理想である。オフィスなどの固定費は少なくて済むし、通勤の支給交通費も減る。地方や外国在住、家庭の事情で家を離れられない優秀な人達も採用できるだろう。それが実行できなかった大きな理由の一つは、管理業務である。正確に言えば、管理という名のもとに固定され続けてきた慣習と、それに従属することで管理=マネジメントと解釈してきた管理職と、彼らが作り上げた組織文化のことである。既に多くのニュースやネット上の言論で囁かれているように、管理業務の中にはナンセンスな物が多い。その最たるものがハンコ文化に代表される文書承認のスキームであろう。
契約書や注文書において、実は押印の義務はなく、サインでも信憑となる*5。事実、ハンコ文化のない海外との取引ではサインで済まされている。さらに、契約署名の電子化を認める電子署名法は2001年に施行されており*6、契約書面の電子保存を認める電子帳簿保存法も2015年に金額上限が撤廃されている(これまでは、契約書の金額上限が3万円だった)。さらに、契約書がデジタル化されれば、収入印紙は必要なくなる*7。企業が電子契約化に踏み切れないのは技術や法の問題よりも、電子化によって企業組織が失うもののほうが大きいからであろう。
すなわち、電子化による業務効率が強いるプロセス変更、これに伴う様々な取引ルールの改訂、電子化に必要なソフトウェア投資コスト、新プロセスを覚えるための一時的な学習負荷などの導入時の痛みとともに、電子化によって軽減される管理業務の効率化によって生み出される時間を「責任業務に再配分」に対する恐れが生み出す消極姿勢によるところが大きいであろう。管理重視型マネジメントにとって、方針策定や意思決定に時間を割くということは、不得意領域に自ら光を当てるということでもあるのだ。改革案をマネジメント会議にかけた時、「出来ない理由なら100万個だってでてくる」というのは、知人の外資系マネジメントが日本企業に転職した時の言葉である。
マネジメントの責任業務の少なくとも半分は「意思決定」であると筆者は考える。そして、むしろその比重は大きいほうが良いとも考える。しかし、管理業務多忙というエクスキューズの下、意思決定を曖昧にしてきたマネジメント層は戦いの矢面にさらされてしまうことになる。なにより、不慣れなデジタル化の再学習負荷と、不得意な領域でパフォーマンスを落とす不名誉は避けたいだろう。こういった背景が生み出す非積極的姿勢が組織全体の変化への抵抗となっていく。これは、筆者がデジタルの世界に入ってから約20年、脈々と続く日本の現実であり、改革を牽引したときに味わった苦い経験でもある。ホワイトカラー生産性がいつまで経っても向上しない理由の背景は、多くのマネジメントが管理業務に固執している弊害でもある。
コロナ撲滅前である「Withコロナ」の数年がもたらす「非接触」「非移動」は、強制的に業務の電子化を要求するようになるだろう。もはや、どんな理由をつけて抵抗しようと、電子化を加速しないと企業はWithコロナを乗り越えられない。たかだか3ヶ月の「自粛」でも、歴史的な経済停滞を生み出すのだ。第二波発生がほぼ確定している現在、この強烈な引波に旧スタイルで踏ん張り続ける企業はほとんどないだろう。
管理業務において、今後押印や承認ルーティンの時間的コストは限りなくゼロに近づく。電子契約サービスの盟主でもあるクラウドサイン(弁護士ドットコム)がぐんぐん株価を上げているのがその表れだ*8。承認のための資料作成、郵送、保管という事務作業も一気に軽減される、また、リモート会議が一般化すれば、会議招集や会議室の確保に時間を割くことも無くなるし、会議資料の印刷も必要なくなる。プロジェクト管理も営業進捗もダッシュボードで確認すればよい。判断に必要な情報が足りなければ、何を持って判断したいかを明確に指示すれば、今どきの管理ツールは即座に反映可能だ。そもそも判断に必要なデータが取得できないなら、善後策を現場に指示しつつ、経営レベルにデータ環境の改善を進言すべきである。管理業務の電子化は、マネジメントの意思決定への時間配分を確実に大きくし、同時に、機械にやらせれば十分なナンセンスな業務から部下を解放する。多忙な管理ルーティンという逃げ道を失った管理重視型マネジメントは、その意思決定力不足を露呈することになる。多くのメディアで「コロナが無能な管理職を露呈している」と歌っている。Withコロナのフェイズにおいて、それは電子化に対応できない旧世代管理職のあぶり出し、というニュアンスをまとっている。が、Afterコロナは、管理業務という逃げ道を失った管理重視型マネジメントが意思決定力不足を突きつけられ、淘汰されていく時代となるだろう。
「非接触」「非移動」の強制によって、バックオフィスだけでなく、生産部門も物流部門も営業部門も大きな打撃を受けている。工場を稼働させるためには従業員が手を動かさなければならないし、取引先と交渉するには営業部隊が動かなければならない。製造原料や最終製品を届ける物流も分断され、そもそも販売先が店を閉じているのだ。これらの企業活動が大きく制約されているのだから、経済が回るわけがない。
一方で、それでも動き続けているのも事実である。コロナ禍で工場の減産が行われている理由には、海外からの資材調達の分断と、作っても売れない、という2つの側面がある。前者について日本のメーカーの多くは早くから調達ルート変更や国内調達にシフトを始めている。多くの製造業は、中国への調達依存回避策として「チャイナ・プラスワン」戦略(中国の他にもう一つアジアの調達ルートを確保すること)を実行していたが、コロナ以降は、日本国内調達を含み、中国以外の2つの調達拠点を確保する「ジャパン・プラスツー」戦略にシフトし始めているという*9。幸いなことに宅配流通は健在であるし、小口の物資輸送ならば航空便がフル稼働している。旅客便は大幅に減便しているが、むしろ緊急貨物の需要は増えており、旅客機が輸送機代わりに飛んでいる*10。貨物船も減便しているが、コロナ禍による寄港制限よりも、そもそもの輸送需要の激減によるところが大きい。貨物トラックも同様である。いずれも、感染防止による制限は最小限に抑え込まれている。つまり、厳正な衛生管理体制のもと、物流インフラはWithコロナでも生きており、高速で適応しはじめている。コスト高の問題はあるが、時間とともに解決するだろう。生産や流通は比較的早期に対応し、踏ん張り続けている。おそらく両者はWith コロナの中でさらなる最適化が進むだろう。生産ラインはIndustrial IoTによってオートメーション化が加速し、国際ロジスティクスの精密化とデータ化も進むはずだ。国内物流は小口化が進み、Sharing Logisticsを提唱するMovo*11や小口物流のフルフィルメント業務を一手に引き受けるオープンロジ*12などの新興企業に支えられてさらなる進化を続けるだろう。
先述のように、生産・物流部門は生き残りのために先手を打ってい動いている。最大の経済停滞の要因は消費の落ち込み一点に尽き、これさえなんとかなれば、コロナ状況下でも企業が生き延びる足腰は健在なのである。その中で、再生の鍵を握りながらも、最もデジタル化の遅れを露呈するのは営業・販売部門である。何故なら、アナログ手法による提供価値が依然として高く、それが故にデジタル化を拒む文化があるからだ。このことは、先程のマネジメントの意思決定からの逃避と密接に関係している。彼らのような管理職にとって、取引先の営業は非常に便利な無料社員でもある。課題解決策を提案し、社内に通す資料を作成し、判断すべき情報や意思決定の領域を狭めてくれるのだ。商談プロセス自体がデジタルで合理化されれば、管理業型マネジメントはもとより、彼らの分析・意思決定業務を事実上無料代行していた取引先の営業職が存在意義を失う。言い換えれば、マネジメントに意思決定力(権力のことではない)があれば、御用聞き営業は通用しない。
今後断続的に緊急事態宣言が繰り返されることが想定され、小売店舗の平均稼働率は平常時の70%もあれば御の字では無いだろうか。もちろん、取引先自体が出勤していないのだから、営業活動の多くもリモート化せざるを得ない。つまり、デジタルショールームやコマースの販路が無ければ、以前よりモノは売れなくなる。B2Cならばデジタル販路の整備は死活問題になってくる。自動車や家具などの大型で高単価な商材も、顧客接点である無人ショールーミングだったり、来店予約が鍵になってくる。B2Bならば、具体的な商品説明スペック開示を併せ持つ、取引先との販売プラットフォーム、すなわちアリババのようなモール型のマーケットプレイスだったり、独自の電子入札や調達の仕組みが以前にもまして必要になってくるだろう。もちろん、先述の電子契約の整備も重要だ。そして、新規営業はインサイドセールスが極めて重要になるだろう。問い合わせからリード見込み客化までをデジタル上で行い、クローズ案件を営業に引き渡す仕組みは主流になっていくだろう。
営業活動におけるアナログな価値とは、顧客とのコミュニケーション量であり人間関係である。足繁く客先に通い、所属会社と自分を好きになってもらい、裁量権を持つライトパーソンを見つけ出し、もっとも顧客が喜びそうで、競合よりも魅力的な提案を仕上げる。CIAエージェントのような観察力と様々な諜報活動に基づいてミッションをコンプリートするのがいつの時代も営業の誇りである。顧客コミュニケーションはその諜報過程に必須なものであり、営業活動の大半がその「量」に費やされてきた。1990年代にSFA導入が進み、殆どの企業が営業管理ツールを使うようになったが、その実態は先述の管理業務型マネジメントの雑務を助けるものでしかなく、大企業の営業の効率はあまり上がっていないように思う。日報が電子化され、SFAへの案件進捗が義務化されても、営業会議の大半は案件進捗報告に費やされる。筆者が営業職に就いていたのは1990年代後半だったが、2020年の現在の営業職を見ても、根本的な動き方や価値観はあまり変わっていない。変わったのはSFAがクラウド化してアプリでも使えるようになったことくらいである。業種にもよるだろうが、デジタル技術がこれだけ進み、様々なツールが導入されても、営業プロセスはこの20年以上変わっていないのではないか。
Afterコロナはこの状況を大きく変えることになるだろう。「非移動」「非接触」によって顧客訪問なしで営業する術が強制的に要求されるようになり、優秀な営業職は「これでも案外いける」ことに気づいているはずである。顧客情報収集はインターネットでかなりできる。幸か不幸か、顧客側もリモートを要求するので、提案書を人数分印刷しなくてもいいし、電車や車で移動する手間もない。WEBからの問い合わせはインサイドセールスが「温めて」くれる。問い合わせに至るまでのサイト内の閲覧履歴やメールの開封履歴もデータ化され、初見訪問の段階でかなりの情報を把握できるはずだ。マーケティングオートメーションが実装されれば、フォローアップが漏れることもない。これまで、コミュニケーション「量」のために費やされた時間は格段に短縮され、営業の役割は、データ分析を武器に、少ない接触量でクローズに導くコミュニケーションの「質」に集約されていく。これまで、「量」をエクスキューズとしていた営業は淘汰されていくことになるだろう。ちなみに、エースと呼ばれる営業達は昔からこの「質」を重要視していたので、Afterコロナでも更に活躍するだろう。
デジタルコマースやマーケットプレイスの役割は、今後非常に大きくなる。無店舗24時間の販売体制を持てることは重要であり、リアル店舗が自粛を強いられた時の生命線になる。B2Cの消費財ならAmazonや楽天などへのデジタルモール出店は極めて重要になるし、嗜好品ならば自社D2Cの準備は必須である。自社でサーバーを立てなくともShopifyなどのクラウドサービスはいくらでもあり、在庫管理から配送までをカバーするフルフィルメントサービスもどんどん増えている。それこそ「2025年の崖」に象徴されるようなレガシー直結型のコマースがなくても十分にサービスイン可能だろう。B2Bならば、SAP Aribaなどが手掛けるエンタープライズ向けだけでなく、RFP360やScout RFPのような調達プラットフォームが浸透し始めており*13、担当営業はこのプラットフォームを駆使した取引(RFPの授受から提案、決済まで)を行うことになる。店舗販売は2018年頃からショールーミングやクライアンテリング*14のテクノロジーが欧米を中心に叫ばれている。顧客はスマホを使って店舗にログインし、必要な情報を取得したり、決済や配送注文を行う事ができるし、代替候補(色やデザインの違い、同じ用途の別ブランドなど)の選択肢を自動提案することすら可能である。Amazon Goのようにセンサーを駆使したキャッシュレス無人店舗だけでなく、無人ショールームや少人数での効果的な接客が可能になり、かつこれらの顧客行動データはデジタルコマースやマーケティングに活用されて、再購買や予約購買を促す。
このように、営業・販売行為に求められていたアナログ行為はかなり圧縮されることになる。ちなみに、このことは、営業・販売のアナログ価値が消失することを意味しない。むしろアナログの提供価値はより高度なものが要求されるだろう。コロナ禍の自粛によって、顧客もまた、意味のないコミュニケーションの無意味さに気づいている。コロナを体験した市場は、短い時間で的を射るような、営業の「質」を求めるようになるだろう。
これまで述べたように、コロナ禍は「管理」というルーティンに逃げていたマネジメントの逃げ道を無くしてしまうだろう。ある意味これを支えていた取引先の営業達もまた、「コミュニケーション量」という逃げ道を失う。Afterコロナの時代、事業存続のために企業が取り組まなければならない最大のポイントは売上の早期回復と向上である。製造や流通もまた大きく変わるであろうが、確実に対応し進化を遂げ、むしろコロナ禍を糧に新しい市場構造を作っていくことになるだろう。それほどまでに、日本の製造業と流通量の効率化への努力と進化、業界全体が支えつづける業務標準は素晴らしい。
筆者は米国滞在中、これらの業界、特にブルーカラーと呼ばれる日本の労働者の偉大さに気づくことが出来た。Amazonの即日配送も、自治体やスーパーの行列さばきも、製品の性能と堅牢さも、日本を凌駕するものは世界に殆ど無い。ある意味、彼らの足を引っ張っているのは、これまでのマネジメントと営業が作り出してきた組織文化であり、これが日本の変革を阻み、現在進行中のDXの大きな足かせとなっていると筆者は考える。筆者は営業出身であり、マネジメントも経験しているだけに、この文章を書いていてキリキリと胃が痛む。自らの過去を省みると、穴があったら入りたい。
Afterコロナにおいて、マネジメントに求められるものは、「意思決定」に時間を割き、質を上げ、組織の生産性を上げることに他ならない。ナンセンスなタスクは可能な限り機械化し、取引先の営業からの情報に依存せず、自ら学習して、自らの判断基準を培わなければならない。契約事務、無用な会議や印刷物、営業活動がどれほど組織効率を無駄にしているかを改めて知る必要がある。同時に、デジタル化によって職を失うのはスタッフではなく自分かもしれないことを肝に命じなくてはいけないだろう。DXはデジタルによって提供価値を変える行為である。コロナ禍はこの変革を待ったなしにしてしまうだろう。
DXが進まない大きな理由は、レガシーシステムの鎮座だけでない。「非積極的賛成」という、マネジメント自らが変革を拒む行為が最大の要因であり、この思考を生み出したのは積み上げられた慣習であり、組織文化である。デジタルツールを導入するなら、マネジメント自ら使いこなし、分析と意思決定に時間を費やし、組織の展開スピードとクオリティを上げる覚悟が必要である。そして、コロナ禍は我々マネジメントの逃げ道を無くしてしまうことを肝に命じよう。そして、生き残れば、コロナ禍は我々にさらなる進化をもたらしてくれることもまた確実である。Afterコロナ時代におけるマネジメントの生き残りの条件は、ナンセンスなルーティンタスクを機械に任せ、生産的な作業に時間を配分する意志を持ち、それが要求する学習負荷を受け入れ、機械が処理できない未来の判断に自らの責任領域を置く、スタイルの変更である。そうすれば自ずと部下の生産効率も、取引先の質も上がり、あなたの組織は確実に成長し、母体企業は生き残ることができるだろう。数十年動かなかった山が今動こうとしている。景色も生態系も確実に変わる。以前あなたが住んでいた山野は、数年後には存在しない。
引用情報:
*1
Thesauras.com(2020), management, retrieved from
https://www.thesaurus.com/browse/management?s=t
*2
日立製作所(2020), 在宅勤務を変革のドライバーとする働き方改革を推進, retrieved from
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2020/05/0526.html
*3
ITmedia(2020), GMO、オイシックス・ラ・大地は新型コロナにどう対応したか?テレワークの実践から見えてきた「ニューノーマル時代の働き方」, retrieved from
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2006/11/news001.html
*4
富士通(2020), 新型コロナウイルス感染症に関する当社の対応について, retrieved from
https://pr.fujitsu.com/jp/news/2020/03/24.html
*5
クラウドサイン(2019), 印鑑の法律知識 —契約書押印業務における頻出用語まとめ, retrievd from
https://www.cloudsign.jp/media/20190917-inkan-kiso/
*6
法務省(2001), 電子署名法, retrieved from
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji32-1.html
*7
国税庁(発行日不明), 文書回答事例(別紙), retrieved from
https://www.nta.go.jp/about/organization/fukuoka/bunshokaito/inshi_sonota/081024/02.htm
*8
Yahoo!ファイナンス(2020), 弁護士ドットコム(株)【6027】, retrieved from
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=6027.T&d=1y
*9
ビジネス+IT(2020), 製造業は新型コロナとの共存を見据えた「リスク回避型バリューチェーン」を構築せよ, retrieved from
https://www.sbbit.jp/article/cont1/37920
*10
ANA Cargo(2020), 旅客機の客室内に貨物を搭載しました, retrieved from
https://www.anacargo.jp/ja/news/post_111.html
*11
Movo
https://movo.co.jp/
*12
OpenLogi
https://service.openlogi.com/
*13
G2(2020), Scout RFP, a Workday Company Alternatives & Competitors, retrieved from
https://movochannel.movo.co.jp/column/631.html筆者注:
*14
クライアンテリング
主に欧米の小売業で用いられるようになった造語。顧客の購買履歴や属性を把握し、訪問顧客に最高のおもてなしを提供すること、もしくはその技術