Amazon傘下のIoTドアホンメーカーRing、 炎上の中に一つの光明

日本人の殆どは、Ringという企業を知らないだろう。しかし、Amazon傘下といえば、「おっ」と思うだろうか。Ringは2012年にカリフォルニアのサンタモニカで創業したスタートアップで、一言で言うとホームセキュリティ企業である。ビデオインターフォンや監視カメラ、ドアロックの機器とこれをリモート操作できるアプリ、そしてその制御環境を提供する。クラウド上で制御されたそのシステムによって、ユーザーは部屋の中を遠隔でカメラ監視できるので、防犯だけじゃなくベビーシッティングなどにも有効として注目されていた。しかし、ハック被害が相次ぎ、ハック先リストが闇サイトに乗るなどの騒ぎとなり、ついには、「覗きの実況中継」のような動画サイトまで現れて社会問題になっている*1。

同社のサービスは、GoogleのNestのようなホームセキュリティの一つと取れるが、カメラ監視にアピールの力点があり、かつセキュリティが脆弱だったため、世の批判を浴びることとなった。ちなみに今でも炎上は収まっていない。Amazonはこの企業を2018年に10億ドルで買ったのだが、今のところあまりいい話がない*2。

一方、ようやくいいニュースが訪れた。

RingはNeighborsというコミュニティ機能を提供している。専用アプリ上で防犯・犯罪情報や同社のセキュリティカメラの画面をシェアすることで、地域単位での防犯コミュニティ形成を促す仕組みである。いわば自警団SNSのようなものだ*4。そして、この12月、このNeighborsを用いて、Ringは全米行方不明・被搾取児童センター(NCMEC)と、行方不明の子どもたちのポスター掲載を発表。Ringは自警団コミュニティを通じて早期発見と安全な確保に一役買うことになる。NCMECはかねてより24時間コールセンターとアンバー・アラート**等によって行方不明児童や誘拐のための情報収集・喚起の仕組みを持っているが、Ringのドアホンから供給される動画とその自警団コミュニティが、このネットワークに参加することになる。セキュリティ問題で炎上が続くRingにとって、このNCMECとの連携は光明となるだろう。同記事では、全米で2018年に42万件の誘拐事件が届け出られているという。Ringのドアホンユーザーは1000万人を超える。*5

炎上から話題をそらす行為のようにも見えるが、実際、ドアホンカメラがオンラインに接続し、監視ネットワークとなることで、これまでのドアホンの提供価値が大きく変わる。自己防衛のための機器が集団自己防衛に広がり、コミュニティ単位での防犯・異常検知のためのインフラ端末になる。おそらくRingはもともと、このDX的イノベーションをもともと狙っていたのではなかろうか。ただ、少々(かなり)脇が甘かったために、このニュース後もRingに対する批判はまだ収まりを見せていない。

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