【独占インタビュー】 テックタッチはDXの現場実装の救世主となるか
Maximize the power of tech(テックの力を最大化する)
テックタッチは上記のビジョンを掲げ、2018年3月に設立された会社だ。現代を「爆発的な技術革新によって社会が根本的に変わる、デジタルトランスフォーメーションの時代」とした上で、テクノロジーの力を引き出し、誰もが簡単にITを使いこなせることを同社は目指している。今回、多忙な中、代表取締役の井無田氏にインタビューの機会を頂けた。彼の言葉を踏まえ、彼らの目指すDXのかたちを考えていきたい。
操作手順ガイド表示プロダクト「テックタッチ」
同社が提供する「テックタッチ」は、簡単に説明すると、Webシステムの画面上にリアルタイムで操作手順のガイドを表示できるプロダクトだ。
改革のために新たに取り入れたWebシステムが、使い方がよくわからないという理由で定着しなかったという事例はたくさんあるだろう。テックタッチは、操作手順やガイドWebシステムの画面上に表示することで、実際に操作しながら手順を覚えていくことができるガイド機能を提供する。新システムの操作ガイドをテックタッチで作成することで、ユーザーは操作研修やマニュアル理解に時間を取られることなく、導入のその日から新システムで作業に着手できる。導入担当部門は、オンサイトでのトレーニングや現場からの問い合わせから解放されることになる。
SFAやCRM、自社開発システム、経費精算システムなど、どんなWebアプリケーションにも導入可能で、なにより嬉しいのはテックタッチを導入したシステム自体に改修を入れなくて済むという点だ。
テックタッチは細かな操作の分岐にも対応できる。実際にガイドを設定する作業を見せていただいたが、こんなにも簡単に細かく設定できるのかと驚いた。ソース上のclassを指定して設定するなど、かなりかゆいところに手が届く印象だ。ガイドの設定作業を見ながら、筆者も社内の勤怠システムに導入してほしいと強く思った。
テックタッチなりのDXの解釈とは
デジタルトランスフォーメーションはさまざまな解釈がなされているが、基本的にはデジタルを使ったトランスフォーメーション、つまり会社の変革である、と井無田氏は捉えている。そのうえで、テクノロジーの幅が増え、今まさに新しい時代が来ていることを肌に感じている、と彼は語る。
「前提として、どんな業界であっても社員全員がITを使いこなせないと戦えない時代になっていると思っています」
実際テックタッチ社内でも、新しい社内システムを導入し、使いこなせるようになったことで社内での業務変革がかなり起きたと感じたという。
もともと金融機関の出身だという彼は、複雑なシステムが多いなかでシステムの作り手と使い手のギャップを感じる部分も多かったと言う。
出典:テックタッチ(2021),https://techtouch.jp/techtouch
次世代の会社の基礎となるようなプロダクトは日々新しく生まれている。その仕組み/思想に共感してプロダクトを導入したは良いものの、現場がついて来れずに上手く使いこなせていないことは多い。システムの単語と業務用語が一致していなかったり、そもそもが紙文化であるなか、システム導入によって貯まるデータの利活用を考えずに一足飛びにシステムの導入をしようとしていたりと様々な要因はあるが、それに対しての支援をするのがテックタッチだ。
「使いこなすのが難しいアプリケーションでも、誰でも簡単に使いこなせることが所謂DXのなかでも初めのわかりやすいステップなのかなと思いますね」
井無田氏は、ガイドやガイダンスの設計の大切さを実感してもらい、どのようなビジネスプロセスで進めていきたいのかを整理したうえで、実業務に落とし込んでいくためのツールとしてテックタッチを上手く使ってほしい、と述べた。
それぞれの業務フローを見直すことは、立ち止まって、自社のビジネスプロセスや業務整理を行うきっかけにもなる。
また、SaaS等の新しいシステムを導入するということは、既存のビジネスプロセスにとらわれず、システムの思想にビジネスプロセスや業務を合わせていくことも必要だ。システムの思想を伝え、現在のビジネスプロセスからどのように変化する必要があるか、そういった提案をすることもあると言う。幅広く柔軟な形でのDX支援が可能だ。
全業種、全ジャンルのシステムに導入し価値を提供できるという強み
ひとたび「DX支援」とGoogle検索すれば、0.35秒で6800万件*1も検索結果が出てくる時代だ。DX支援を打ち出している会社は日本だけでもたくさんある。
テックタッチと類似したプロダクトを提供する企業は、海外ではすでにいくつか存在しており、競合相手は世界のユニコーン企業である。マーケット自体は4、5年前から存在しているが、とはいえまだまだこの分野は黎明期と言える。
筆者自身、Google アナリティクス個人認定資格(GAIQ)の取得のためにアナリティクスアカデミーコース*2を受講した際、画面上に表示された操作手順に沿って順番に操作していく、という流れを体験したが、途中で違う場所をクリックしてしまったり、操作を中断したりするとうまく動かなくなってしまうことがあった。一方、年々操作性が向上しているところを見れば、Googleでさえ、操作ガイドの領域では絶賛試行錯誤中なのだろう。
「SaaS企業などのシステム開発をしている企業はユーザーに近い人が高速でPDCAを回しながら作れますし、ユーザー企業は自分たちの情シスや業務部門で簡単にガイドを作れます」と井無田氏は述べている。
「ニーズはすごいですよ。僕らはWebシステムのみを対象としていますが、全業種、全ジャンルのシステムに導入し、価値を提供できるところは非常に強みだと思っています」
現在のターゲットとしては大手エンタープライズ系企業が多いようだが、今後はさらに色々な業種の企業に導入していくという。
彼らの見据える未来とは
テックタッチはシステムのガイドを表示する以上、UX/UIの部分とも非常に親和性がある。
近年、UX以外にもCX (Customer Experience)やBX(Brand Experience)、HX(Human Experience)というさらに広い視野を持った考え方が浸透し始めている。定義に多少の違いはあれど、モノ消費からコト消費に移り変わり、幅広い範囲での『体験』が重視されていることは火を見るより明らかだ。なかでもEX(Employee Experience)はその名の通り、従業員の体験の向上およびそれによる収益・利益の増加を指すが、まさにテックタッチを導入することで得られる最大の効果は、EXの向上によって導かれる利益であろう。
「システム導入をして上手くいかない場合は機能自体ではなく、UI/UXの問題であることも多いと思っているので、そこを改善できることは価値の高いことだと思っています」
システムに改修を入れることなくUI/UXを向上させられることは時代の流れともマッチしていると筆者は考える。
出典:テックタッチ会社紹介資料(2021), https://techtouch.jp/about
では、未来への道のりはどのように考えられているのだろうか。今後のロードマップを見せていただくと、今後は多言語機能や得られたデータの解析機能、システム横断のダッシュボード機能を実装し、そしてRPAでの自動化を見据えているとのことだった。データ解析でPDCAを回しやすくし、さらにRPAの導入で常に同じルートを辿る作業フローの自動化を目指す。
井無田氏は今までの道のり、そしてこれからに手ごたえを感じている様子だった。そしてそれは決して独りよがりなものではなく、クライアントからの強い要望でもあるとのことだ。
特にRPAの部分の要望は強く、勤怠や経費精算の部分の自動化はまさに多くの企業が求めていることだ。
誰もがシステムを味方にでき、誰もがシステムを使いこなせる世界の実現へ
モダンなシステムを導入していく流れは今後さらに大きくなっていくだろう。また、一方では終身雇用制度が崩れ、転職が当たり前の時代となり、人材の入れ替わりは更に激しくなるはずだ。そんなとき、いちいちシステム操作の研修を行ったり、膨大なマニュアルを読ませたりすることなく、直感的に操作を習得できるテックタッチはまさにこの時代に必要なプロダクトだ。
話を訊いてみるとまさに順風満帆といった様子だったが、難しい部分を尋ねてみると「ニーズに向き合っているからこそ、ヒアリングにリソースや時間がかかりますね」と、丁寧な導入支援を行っているからこその苦労も垣間見えた。その一方で、井無田氏はまた、力強く語った。
「丁寧な対応を続け、お客さんのDXを支援する力強いパートナーになっていきたい。あとはやるだけです」
新しいシステムを導入するだけではDXは実現し得ない。導入したシステムが現場に定着して初めて変化が起きる。そして、テックタッチはDX実現後も寄り添ってくれるプロダクトだとも言えるだろう。DXというデジタル変革が推し進められるなかで「誰もがシステムを味方にできる」「誰もがシステムを使いこなせる」世界の実現にテックタッチは必要不可欠な存在となるはずだ。
参考情報:
テックタッチ(2021), https://techtouch.jp/techtouch注記:
*1
DX Navigator編集部調べ
2021年6月25日14:00時点のGoogle検索結果より*2
GAIQ、アナリティクスアカデミー
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