米国フロントオフィス向けRPA大手UiPathが5億6800万ドル調達、評価額70億ドルを突破

RPAといえばUiPath、そうなる日も近いかもしれない。

このルーマニア発のスタートアップは、日本でも本格的な展開を始めているが、さらなる成長を遂げようとしている。Techcrunchなどの報道によると、同社は、この4月に5億6800万ドルのシリーズD調達ラウンドを完了し、70億ドルの企業価値評価を得た。

UiPathは人工知能を活用して様々なタスクを自動実行させるソフトウェアを提供する企業である。アメリカを中心にRPAを提供するソフトウェア・サービスは相当数あり、しのぎを削っているが、UiPathは強豪のBlue PrismやAutomation Anywhereと並ぶ3強の一角であり、Gartner社の直近の発表では、マーケットリーダーとしての評価を得ている。クライアントはAmerican Fidelity、BankUnited、Duracell、Google、日本取引所グループ(JPX)、McDonalds、日本生命、NTTコミュニケーションズ、Orange、リコー、新生銀行、 Uber、アメリカ海軍、Virgin Mediaなど錚々たる顔ぶれだ。*1

Techcrunchによると、同社CFOのMarie Myersはこの調達資金を「RPAを新しいレベルに移行する」ために活用するといい、「ロボティクス(の活用シーン)はバックオフィスからフロントオフィスに移行しており、時代は今インテリジェントオートメーションに移行する時期に来ている」と述べた。*2

Myers氏が言うようにRPAは現在大きな移行期に来ていると言える。RPAソフトウェアの多くは、デジタルレイバーと呼ばれる仮想ロボットを使って様々なルーティンワークを自動化するものだ。したがって、人事や総務、調達などの、定型文書の処理プロセスで力を発揮する。例えば、最新データをダウンロードし、特定のエクセルに貼り付けてグラフを更新し、そのグラフをテンプレート化されたワード文書に貼り付け、関係各所に配信するような作業が典型であろう。様々なデータが複数のサーバーやソフトウェアに散らばっていたり、販売店のPOSデータや作業現場の測量データなどの数値がメールやエクセルで行われ、誰かがこれを集計しなければならないような場合、RPAは活躍する。一旦デジタルレイバーを作ってしまえば、彼らは毎日定時に黙々と仕事を始める。

この、単純労働者であるデジタルレイバーを、考える労働者であるデジタルワーカーまで進化させる考え方が、インテリジェント・オートメーション(Intelligent Automation)だ。乱暴に言えば、RPAにAIを接続させることで、ある程度の判断までを自動化させる考え方であり、多くのRPAベンダーがこの領域に進もうとしている。これによって、定形以外の文書判別やスコア化も可能になり、複雑なパラメータを伴う判断も処理することが出来る。そして、UiPathはこれをフロントオフィス、すなわち営業やマーケティング、CSなどの顧客応対プロセスに適用していくことを明言している。

Techcrunchが同記事で語るように、フロントオフィス自動化の領域はAmazon、Apple、 Google、 Microsoftなどが積極的に推進しているパーソナルアシスタントの領域でもある。*3

AlexaやGoogle Homeの音声認識と自動応答はもちろん、AdobeやOracle、 Salesforceなどが提供するマーケティング・オートメーションの領域との接続は必至であり、場合によっては完全競合となる場合も考えられる。現に、近年のテックイベントでは、保険契約の与信や請求のメール、電話での対応だったり、医療現場における見守りロボットと服薬遵守状況の分析にインテリジェント・オートメーションを活用したスタートアップが数多く出現しており、RPA業界は一世代前の産業になりつつある。UiPathの志は、まさに将来の生き残りのための「RPAの新しいレベルへの移行」であるだろう。


引用:
*1,
UiPath(2019), UiPath Named a Leader in the 2019 Gartner Magic Quadrant for Robotic Process Automation Software
https://www.uipath.com/blog/uipath-2019-industry-leader-gartner-rpa-magic-quadrant

*2,*3,
Techcrunch(2019), UiPath nabs $568M at a $7B valuation to bring robotic process automation to the front office
https://techcrunch.com/2019/04/30/uipath-rpa-series-d/

参考記事:
KPMG(2018), インテリジェントオートメーションを活用した業務改革支援
https://home.kpmg/jp/ja/home/services/advisory/management-consulting/strategy-operation/process-technology/intelligent-automation-operation.html


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