ConTech(次世代建築技術)はスマホドリブン。しかし、現場は統合型アプリを切望

現在、アメリカを中心に、英語圏ではConTechという言葉が使われる。端的にいうと、建築産業のデジタル技術化を指す。

このConTechのトレンドは完全にスマホドリブンである。建築コンサルのJBKnowledgeのアンケート報告によれば、回答者の93%が業務にスマホを活用しており、PCの83%、タブレットの64%より多い結果が出た。2014年の同調査ではスマホの利用率が21%なので4倍に伸びた。主な用途は画像管理、ツール監視、稼働時間管理、そしてBIM(Building Information Modeling)の確認やプロジェクト管理など。

主なメジャーアプリは以下の通り
・Daily report management apps(日報管理): Procore, Bluebeam Revu, PlanGrid
・Photo/video management apps(写真・動画管理): Bluebeam Revu, Procore, PlanGrid
・BIM file viewing apps(BIM管理): Bluebeam Revu, Navisworks, BIM 360 Docs
・Plan management apps(計画管理): Bluebeam Revu, Procure, PlanGrid
計画管理系はDropbox, Citrix SharefileやEgnyteなどのファイル管理系クラウドツールと密接に連携している。
・Safety management apps(安全管理): Procore,Bluebeam Revu, iAuditor

 

 

一方、様々な専門アプリが乱雑し、ユーザーは複数のアプリを使いこなさなければならず、これが効率を下げている。このため、次のConTechはIntegratedもしくはToggled(ダッフルコートの前についてる棒状のボタンがToggle。2枚の布を閉じる=つなぎ合わせるという意味を持つ。IT用語的にはONとOFFなど2つの機能や状態が切り替わる機能操作を指し、トグルスイッチなどと呼ばれる)な機能提供が求められることになる。様々なデジタル化が部分的に進んだ結果、ConTechには全体的な建築プロセスの変革、すなわちConTech DXが求められ始めているのかもしれない。

ちなみに、同記事ではセキュリティについても言及している。
スマホを活用すること利便性は上がるものの、ハックによる建築プロジェクトや技術の機密漏洩リスクは上がる。また、様々な外部請負業者が入り乱れる現場において、ウイルス感染、紛失の防御は難題である。現在は二要素認証(2つのIDによる本人認証)が最もメジャーであるが、それでもアンケート回答では13%にとどまる。
77%の回答者がハッキングやデータ漏洩の被害には遭わなかった、としているが、裏を返せば23%は遭遇している。最も多かった被害タイプはフィッシング詐欺。次いでランサム被害(ハック後にデバイスやソフトウェアをロックし、原状回復と引き換えに身代金⦅Ransom⦆を要求するマルウェア)となっている。*

建築の世界におけるデジタル化は、IoTを始めとした技術の実装が進み、これからが本格的な導入期となるだろう。現在は各工程の業務改善や全体プロセス管理が主流だがこれらが有機的に組み合わさったとき、ConTechは建設業界に本格的なDXをもたらすことになる。

 

参考情報:
Construction Dive(2020), Survey ranks top construction apps, finds lack of integration, retrieved from
https://www.constructiondive.com/news/survey-ranks-top-construction-apps-finds-lack-of-integration/570050/

主要アプリの参考情報:

Bluebeam Software
https://www.bluebeam.com/
PlanGlid
https://www.plangrid.com/
Pro-core
https://www.procore.com/
Navisworks, BIM 360 Docs
https://www.autodesk.com/
iAuditor
https://safetyculture.com/

この記事が気に入ったら フォローしよう

最新情報をお届けします。

Twitterでフォローしよう