コロナ禍の中、HubSpotの新型CMS Hubがベールを脱ぐ

この4月、HubSpotがCMSサービスを新たにリリースした。名称はCMS Hub。これまでCMS機能はインバウンドマーケティングの軸とも言える同社基幹サービスのMarketing Hubに包含されていたが、この度、サービス群の名称、Hubとして独立することとなった。同社のCMSはいわゆるSaaS型であり、コンテンツの編集と管理、そして公開環境であるWEBサーバーがセットになったものであるが、今回の刷新によって、より直感的な操作を実現したCMS機能の独立利用が可能になっている。すなわち、HubSpot視点で言えば、クライアントの新しいエントリー元を増やしたと言えるだろう。

以前、Shogunの記事でも紹介したが、デジタルマーケティングにおいてバックエンドとフロントエンドの分離は大きな潮流である。インフラやサーバー環境の管理に囚われれば、マーケティングスピードには対応できない。一方で、データの測定やEC決済の接続、商品や会員データの更新といった、安定性と堅牢性が担保されるバックエンド側の仕組みは、マーケッターの気まぐれでホイホイと動かせるものではない。HubSpotの創業からのコンセプトは一貫してインバウンド・マーケティングであるが、同時にエンタープライズツールのディスラプトでもあると筆者は感じている。大企業にしか導入が不可能だった重厚長大なCRMシステムを無料で提供し、バラバラに提供されるデータ測定やメールマーケティングをひとまとめにして簡便化し、自前のデータセンターや基幹DBがなくともデータドリブンで経営できる体制を提供する。少なくとも、彼らの歴史の中にあるサービス群はそのように作られ、世に出されてきている。

 

Techcrunchの取材によれば、CMS Hubはマーケティングチームのために特別に設計された製品であるという。膨大なコンテンツを高速に改善させ続けるマーケターにとって、コンテンツ更新は命綱である。本来、コンテンツの「ネタ」を考え、世に出し続けることがミッションの彼らがスタックする大きな理由は、多岐にわたる技術制約である。コードを一行も書けない彼らの多くは、ここで挫折して高速更新を諦めるか、技術やツールの勉強に時間を割くことになる。少なくとも彼らの生産力としての効率性は、下がってしまうのだ。

同時に、技術陣もこのスピードに耐えうる環境を作るため日夜苦心するわけだが、技術トレンドはあっという間に陳腐化するし、何より障害のリスクに責任を負っている側としては、素人に根幹部分はいじられたくないだろう。

 

CMS HubやShogunを始めとしたサービスは、フロントエンドとバックエンドを分離して運用できるようにすることで、スピードと障害リスクを切り離し、同時に両方の生産性を高めることになるだろう。何より、「CMSだけでも切り離したい」と考える人達に、CMS Hubは朗報だ。少なくともWordpressのようにサーバーを用意しなければならない必要もないし、Marketing Hubからは独立しているので、既にSalesforceなどのマーケティングツールが導入されていても機能がかち合うこともない(以前HubspotのCMS機能はMarketing Hubの一機能だったので、LPOやMA、リード管理といったCRM系オールインワンツールと完全競合状態だった)。

 

コロナ禍で一層デジタル商流の重要性が増していく中、CMS Hubは一つの光明となるかもしれない。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう