Amazon、米SNS「Parler」に対するサーバの提供を打ち切り

最近世界のニュースを騒がせているParler*1は2018年にサービスを開始したSNS。人種や宗教、政治信条を問わず全てのユーザーが平等に扱われることを信条とするSNSであり、その利用者層はTwitterやFacebookは「自分たちの見解」に対して不公平な対応をとっている、という認識を持つ傾向がある、とBBCは説明している*2。
日本でも登録方法がYouTubeにアップされたり、登録して使ってみた所感を記述したブログがアップされたりなど注目を集めていた。

 

 

トランプ大統領はParlerを利用していないが、登録者にはトランプを支持する人が多い。米大統領選以降大手SNSでアカウントを停止されたユーザーの利用が増え、結果的にトランプ氏の支持者が情報交換や連絡を取り合うプラットフォームとなってしまった*3。

このように、Parlerは特定の主張に偏る形で運営されていたわけではなかったのだが、1月6日にトランプ支持者が議事堂に侵入し、死傷者が出た暴動を受け、GoogleはGoogle Play StoreでParlerアプリの表示を停止した。また、サーバを提供しているAmazonも1月10日の深夜をもって提供を打ち切った*4。
Parlerは最大1週間程度での再開を目指すとしているが、Androidに続いてiOSアプリもアプリストアから削除されており、先行きはまだわからない。
Parlerの試みは他のSNSとの違いもあり、新たな価値を生みだす一面もあったが、公序良俗に反することでその歩みを一時的に止めることとなった。
仮にParlerの取り組み姿勢を発信の自由を体現するための変革と捉えるならば、メディアのDXの一つの形なのかもしれない。しかし、複数プラットフォームからのParlerの取り扱い拒否は、公序良俗に反するDXは受け入れられないという意思を、社会から提示された結果とも言えるだろう。
仕組みや考え方が新たなものでも、国やサーバ等の提供元企業のストップが入ると実現が難しくなる。そのような障壁の存在も考えさせられる出来事だと言えるだろう。何より、DXの提唱者であるストルターマン教授がその論文で語った、DXの目的である「Good life」とは何なのかを、Parlerを取り巻くこのニュースは問いかけている。

 

引用情報:
*1
Parler(2021), https://parler.com/
*2,*3
HUFFPOST(2021), Parler(パーラー)とは?トランプ支持者に人気のSNS 「言論の自由」をうたっているが…, retrieved from
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5ff912b3c5b691806c492984
*4 ZDNet(2021), AWS cuts off Parler, CEO aims to rebuild infrastructure, retrieved from
https://www.zdnet.com/article/aws-cuts-off-parler-ceo-aims-to-rebuild-infrastructure/

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