コロナ禍が後押しする日本の宿泊DX
+6

旅行者のスマホを使ったスマートチェックインを実現するaiPassが宿泊業界に新風を吹かせている。運営しているのは「旅で人生を豊かに」をビジョンとするクイッキン株式会社。

多くの人が、旅館やホテルに着いたらまずロビーで待たされた経験があるだろう。aiPassを使えば、スマホを見せるだけで、煩わしいチェックイン時の手続きが不要になる。

aiPassは国内大手のホテル運営会社との業務提携、累計で1億円を調達するなど、事業拡大に着実に歩みを進めており、旅行者のスマホでチェックイン、チェックアウトのみならず、旅館内及び周辺の案内も可能だ。公式サイトではデモを試すこともでき、具体的な使用感がわかる*1。

クイッキン株式会社の幹部たちは、宿泊業界のDXへの取り組み姿勢に疑問を感じていた。

「私たちが『DXで宿泊業を強くする』といっても、業界内では、デジタライゼーションで止まっていた。宿泊業界のDXとは、もちろんデジタル化する部分もあるが、顧客体験自体を変え、向上させていかなければならない。ここがともなわないかぎり、宿泊業界のDXは遅々としたものになってしまう」と同社COOの山田氏は危機感を示す。同じく代表の辻氏もまた、Techcrunchのインタビューにこう答えている。

「将来を見すえて、いち早くアクションを起こしている企業はいる。成功事例が生まれれば、周囲も本当の意味でのDXの必要性に気がつくはず。我々としても成功事例を増やし、DXの機運を盛り上げていくことが重要だ」*2。

宿泊者の情報に対し、国が定める旅館業法上の取得項目や各自治体の要件を満たさなければならなかったり、OTA(オンライントラベルエージェント)らが宿泊施設側に提供する顧客情報にばらつきがあったりと突き当たる壁は多いが、この非接触型のサービスはアナログかつ手間のかかる手続きからの変革と言ってもいいだろう。

ほかにも日本の宿泊に関するサービスとして、株式会社AZOOが運営するホテルシステムWASIMIL(ワシミル)がある。こちらはまだベータ版の公開となっているが、自社予約エンジン、PMS(宿泊管理)、CRM(顧客管理)、レベニューマネージメント、Eメールマーケティング、サイトコントローラー連携を一気通貫に統合したオールインワンホテル業務システムだ。業界全体の問題となっている慢性的な人材不足及びそれに付随したサービスの低下の解決、顧客データの一元管理によるオペレーションの効率化、パーソナライズと、ホテル・旅館のサービスの効率化と向上を図る。ベータ版は現在無料公開されており、ホテル/旅館・運営会社なら登録が可能だ*3。

aiPass、WASIMILともに多言語に対応している点も注目すべきだろう。aiPassは 4ヵ国語、WASIMILは2ヵ国語に対応しており、aiPassの事業展開の射程は海外にまでおよぶ。海外の宿泊施設で、使い慣れた日本のサービスを利用して宿泊できれば、現地宿泊業界の関係者だけでなく、日本人旅行者にとっても好都合だ。

コロナ禍、そしてGo To トラベルキャンペーンの一時停止措置での打撃を受けた日本の宿泊業界にとって、これらのサービスは希望の光となるだろう。

[参考情報]

CUICIN(2020)
https://aipass.jp/checkin/
WASIMIL(2021),
https://wasimil.com/

[引用情報]

*1
Techcrunch(2021), スマホ利用の非接触型チェックインが可能な宿泊施設向けシステムを提供するCUICINが6000万円調達, retrieved from
https://jp.techcrunch.com/2021/01/29/cuicin-fundraising/
*2
Techrunch(2021), スマホ見せればチェックイン、宿泊業界のDXに新たな風をもたらすクイッキン, retrieved from
https://jp.techcrunch.com/2021/02/09/cuicin/
*3
PR TIMES(2021), 進化型ホテルシステム「WASIMIL(ワシミル)」の β版事前ユーザー登録受付を開始, retrieved from
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000065553.html

この記事が気に入ったら フォローしよう

最新情報をお届けします。

Twitterでフォローしよう