拼多多(ピンデュオデュオ)、アリババを抜く。中国最大の生鮮ECへ。
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あまり知られていない躍進企業は世界中至るところに存在するが、Pinduoduo(拼多多:以下ピンデュオデュオ)もその一つかもしれない。

ピンデュオデュオの特徴はまず、集団購買、すなわちグループバイイングであること。もう一つはローカルeコマースといえる立ち位置、すなわち産直農産品のECである。

2015年、元GoogleのColin Huang(黄峥:コリン・ホアン)氏によって創業された同社は、農産品や酪農品の低価格直販で注目され、規模の拡大とともにブランド雑貨や日用品、家電まで取り扱う総合eコマースモールに成長した。主要株主はTencent(騰訊:以下テンセント)であり、ライバルはもちろんAlibaba(阿里巴巴:以下アリババ)である。Techcrunchによればこの1月、ピンデュオデュオは年間アクティブユーザー数でアリババを抜いたという*1。

中国系リサーチ企業のEqual Oceanによれば年間を通じた取扱高において、ピンデュオデュオは、Taobao、T-mall(いずれもアリババ系)、Amazon、JD.com(テンセント系)に次ぐ世界5位となり、いわゆるGMV(Gross Merchandise Volume:流通取引総額)で世界の消費の4%をカバーしている*2。

 

ピンデュオデュオはすでに2018年にNASDAQ上場を果たしており、先述のTechcrunchの記事によれば、2020年度の12月末締四半期で2655億人民元(約4.5兆円)の売上を計上。アリババの同期売上2210億人民元(約3.7兆円)を抜いている。とうとう、全中華でトップのECモールに上り詰めた同社の目指すポジションは、あくまで「農業」である。

Techcrunchは「同社はアグリテック(農業テクノロジー)に打ち込んでおり、AI利用農家を促進し、農業従事者が知識を持ったオンラインベンダーになるための教育も行っている。これらの戦略は、中国地方経済を押し上げようとする政府の方針とも一致しており、数億人の生活に影響を及ぼす。」と報じる一方で、同社は未だ赤字であることにも言及している。ピンデュオデュオの損失は2020年度最終四半期で13.8億人民元(約230億円)とされ、これでも前年同期から60億円ほど減少しているという*3。

ピンデュオデュオは、言うならばコストコのような会員制モールの運営で集めた資金をベースに、農業の生産性や商流自体を変革にかかっている。DX Navigatorが先日上梓した「DX経営図鑑」でも触れているアリババの盒馬鮮生(フーマーフレッシュ)は生鮮流通の変革に特化して、いわば生鮮流通DXを行っている一方で、ピンデュオデュオは農業経営のDX、言い換えれば、農業従事者が経営者として末端販売までマネージする、産直型農業流通スタイルという価値提供プロセスを創り上げようとしている。両者に共通しているペイン除去は、中間業者としての小売流通に対する消費者の信頼度の低さである。生鮮食品において、一般小売に並んだ瞬間に、そこには疑うべき何かがある、というのが中国市場に根ざす消費者インサイトであるとも言える。

ピンデュオデュオが世界の農業流通プラットフォームになるかどうかは別として、コストコ+産直+デジタルのようなモデルは、今後様々な経済圏で広がる可能性を筆者は感じている。何故なら、「産直生鮮」は常に消費者にとって理想の食材であり、問題は一般消費に見合ったロットサイズと、生産者や商品鮮度への信頼が得られるかだけであり、これを小売業日本や世界の小売業は代替してきた。くしくも、その中間者としての価値を発揮すべき小売業が信頼されなかった中国が、小売業の価値を再構築・再定義し始めているのかもしれない。

 

引用情報
*1 *3
Techcrunch(2021), 中国Pinduoduoが年間アクティブユーザー数7.88億人でアリババの王座を奪取, retrieved from
https://jp.techcrunch.com/2021/03/18/2021-03-17-pinduoduo-surpasses-alibaba/
*2
EqualOcean(2021), Pinduoduo: A Buy-the-Dip Opportunity? , retrieved form
https://equalocean.com/analysis/2021032216100

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