建設のShopify、Brokreteが3.3億円を調達ーーー建設DXを資材調達から

Brokreteはカナダのトロントに本拠を置く、建設資材調達サービスを提供するスタートアップ。2017年にJordan Latourelle(ジョーダン・ラトゥリエ)によって設立された。数多くのユニコーンを輩出したアクセラレータである、Y Combinatorの卒業生でもある。

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Techcrunchなどによると、Brokreteはこの7月、300万ドル(約3.3億円)の調達をシードラウンドで行ったと発表。リードインベスターは建設業に特化したロシアのVC、Xploration Capitalである。
同誌のインタビューにCEOのラトゥリエ氏は、Brokreteを下記のように説明する。
「ノーコード、ホワイトレーベル*1、マルチチャネルであり、建設業界に特化したオンライン注文・販売・管理を可能にします。iOSやAndroidに対応することで、いわゆる「伝統的」顧客からeコマース経由での受注を可能にし、注文管理・支払い・発送・ロジスティクス、そして(商品コンテンツの)リアルタイム配信を可能にしています」*2。

つまりこういうことである。

・Brokreteは建設業界におけるサプライヤーのためのプラットフォームである
・スマホからの受注受付にも対応
・様々なプラグインを使って自社独自のeコマースサービスを展開可能
・ノーコードなので簡単かつスピーディに開発できる
・決済や配送といった各種サービスとはAPIやプラグインで簡単に接続可能
・売上管理や商品管理も可能

Brokreteは、建設資材メーカーのためのクラウド型eコマースプラットフォームであり、小売業におけるShopifyと同様の思想で作られている。

そもそも、Shopifyが注目されている大きな理由は、eコマースにデジタル人材やコストを割けない企業、すなわちデジタル・レディではなかった企業でも自社eコマースを運営可能にしたことである。結果として、Amazon出品一択だったメーカーや小売業が、eコマースを独立運営できるようになった。

これを建設業に置き換えると、どんなことが起こるだろう?
建設業界は大手コンストラクターやCADメーカーを中心にBIM(Building Information Modeling)プラットフォームを利用したDXが進んでいるが、これは大型プロジェクトの設計と施行管理が中心である。そもそも、そのプロジェクトに必要な資材を提供するサプライヤーたちが、受発注管理をデジタル上で提供できなければ、この流れに入ることはできない。そして、そういったサプライヤーが非常に多いのも建設業界の特徴である。例えば、個人で生コンや廃材の輸送を受け持つミキサー車やダンプカーの運転手。土砂を販売する採石場や中間卸業者。養生や現場保全に必要なブルーシートやパネルを販売する資材販売業者。こういったサプライヤーたちがデジタル化人材を集めるのは難しい。また、彼らを束ねる各地方の土建業も同様である。こういったサプライヤーネットワークがデジタル上で完成すれば、資材調達の効率は格段に上がるだろう。

 

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欧米を中心に、様々な業界でこの「Shopifyモデル」の適用が進み始めている。数年後には日本でも各業界で同じことが起こっているだろう。AmazonもUberもShopifyも北米市場席巻後に日本に上陸し、すっかり業界構造を変えてしまい、その数年後に同じモデルの日本企業が乱立する構図が続いている。建設資材調達も、この流れを踏襲する確率は高い。

 

筆者注:
*1
ホワイトレーベル
他社が開発したプログラムや機能を用いて自社のソリューション・ブランドとして提供すること。Fintechやeコマースなど、決済や送金、与信判断など複数の特化技術で一つのサービスを組み上げるクラウドサービスにおいて多く用いられるようになった概念で、一から開発するよりも市場投入がスピーディであることや、イニシャルコストを低く抑える利点を持つ。自社による受託型スクラッチ開発手法と一線を画す。Shopifyは自社プラットフォームに対応する各種ホワイトレーベルのアプリを利用可能である。
引用情報:
*2
Techcrunch(2021), Brokrete wants to be the ‘Shopify of construction’, raises $3M seed led by Xploration Capital, retrieved from https://techcrunch.com/2021/07/20/brokrete-wants-to-be-the-shopify-of-construction-raises-3m-seed-led-by-xploration-capital/?guccounter=1
参考情報:
Brokete (2021) https://brokrete.com/

 

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