世界のサンゴ礁回復を目指すCoral Vitaが2億円を調達
Coral Vita(コーラルビタ)はサンゴを育て、瀕死のサンゴ礁を活性化させる活動をしている会社だ。サンゴ礁回復技術の現代化及び絶滅の危機に瀕している生態系を保護、そしてサンゴ礁回復に関連した経済の活性化を目指してGatorHalpernとSamTeicherにより設立された*1。
そのCoral Vitaが事業を本格的に展開すべく、シードラウンドで200万ドル(約2億1000万円)を調達した*2。
「我々は補助金や支援金なしにこの分野を変革しようとしています。サンゴ礁のエコシステムに頼っている顧客に販売しています。もしあなたがスキューバダイビングやシュノーケルを楽しむ観光客に頼るホテルの経営者、あるいは海岸近くにある不動産のオーナー、保険会社や政府、開発銀行、クルーズ会社の人間だったら、あなたが頼っているサンゴ礁を回復させるためにCoral Vitaを雇うことができます」とタイシャー氏はTechCrunchのインタビューで語った*3。
Coral Vitaの特徴は大きく分けて3つ。1つはMicro Fragmentation(極細断片化)と呼ばれるもので、サンゴを細かく分解した状態で高速再生・育成を行う。2つめはAssisted Evolution(進化アシスト)で、高水温や酸度の高い水質でも生き延びるサンゴの進化を促すもの。そしてLand-Based Farming(陸上養殖)である。海洋養殖のほうがコストが低いことを同社も認めているが、災害や水質汚染などのトラブルを受けず、安定的な研究と供給が可能になるため、陸上養殖を基本としているという。そして、彼らの活動は全て科学的に行われており、データ分析や予測アルゴリズムはもちろん、陸上養殖設備のための3Dプリンティングなど、様々なテクノロジーが駆使された「未来の養殖工場」と言える。彼らは間違いなく、Enviro-Tech(環境保全技術)の先端を行く企業の一つである*4。
同社は今後、より多くのサンゴ養殖場の立ち上げを検討している。同時に、回復よりもむしろ、サンゴ礁を殺すような行動を止める必要があると考えている。しかし、グローバル規模の多くの問題と同様に、そのような行動を止めることは簡単ではない。サンゴ養殖はサンゴ礁回復のために不可欠だろう。
一方、日本でも海洋保全に関する取り組みがされている。神奈川県三浦半島を中心として、餌となる海藻類が無くなる「磯焼け」により、身が詰まっていないウニになってしまう問題があったが、流通規格外のキャベツを与えて身入りを良くした「キャベツウニ」が2020年12月に商標登録された*5*6。これにより磯焼け対策で駆除されてしまうムラサキウニを減らすだけでなく、磯焼けを起こしてしまう厄介者という認識を覆し、新たな価値を生み出している。テレビで紹介されたことをきっかけに、キャベツを食べるウニの姿が可愛いとSNSを賑わせた。また、この取り組みは外務省が運営している「外務省×SDGs」のTwitterアカウントでも紹介されるなど、海洋環境保全への関心が世界全体で高まっている。
引用情報:
*1
Coral Vita(2021), https://www.coralvita.co/*2*3
TechCrunch(2021), Coral Vita cultivates $2M seed to take its reef restoration mission global, retrieved from
https://techcrunch.com/2021/01/05/coral-vita-cultivates-2m-seed-to-take-its-reef-restoration-mission-global/*4
Coral Vita(2021), What We Do, retrieved from
https://www.coralvita.co/what-we-do*5
神奈川県ホームページ(2021), キャベツウニについて, retrieved from
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/mx7/kikaku/kyabetsuuni.html*6
神奈川県ホームページ(2021),「キャベツウニ」が商標登録されました!! , retrieved from
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/kb2/prs/r2656399.html
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