アリババとテンセントが出資する暖哇科技がSequoia Chinaなどから1億元調達
暖哇科技(Nuanwa Technology)は医療保険むけ情報処理に特化したプラットフォームを提供する中国のスタートアップで、2018年に設立されたばかりである。同社は、医療保険プロバイダーのための医療情報収集やリスク予測、保険商品の価格算出などを一元化したクラウドサービスの提供を目指しているが、Sequoia Capital Chinaおよび宽平资本(KuanPing Capital)から1億元(約15億円)のエンジェルラウンドを完了した。
Equal Oceanの記事によると、国際コンサルティング企業、マッキンゼーの試算によれば、中国における民間保険市場はわずか560億元(8400億円)であり、生命保険市場の1兆元(15兆円)、傷害保険市場の790億元(1兆1850億円)に比べれば小さいが、中国の高齢化による需要側の増加もあって、同民間医療保険事業は中国で急増すると予想されている。 *1
中国では現在、TencentやAlibabaなど民間主導による金融セクターの構造改革が進み始めており、保険業界も同様の動きを見せている。この両巨人の出資を受けて設立された国内唯一のデジタル保険会社が衆安在線財産保険(Zhong An Insurance)であるが、彼らがインキュベーションした企業が、他ならぬ暖哇科技(Nuanwa Technology)である。
現在、裕福な若年層が増加し、将来的には日本以上の高齢化が進むといわれる中国市場において、旧来型の保険サービスは競争力を失い始めている。20代から30代の90%以上がTencentかAlibabaのサービスに何らかのIDを登録しており、衆安在線財産保険はこのデジタルリーチを背景に急成長を遂げた。先述のEqual Oceanによると、1980年代と1990年代に生まれた国民の51%が衆安在線財産保険の顧客であるという*2。そして、そのサービスデータを蓄積処理し、様々な予測を打ち出していくのが、暖哇科技ということになる。アメリカで最も著名なVCの一つであるSequoiaが出資する理由は、Alibabaのファウンダー、Jack Maとの友情だけではないだろう。
引用情報:
*1,2,
Equalocean.com(2019), Sequoia Pulls a Medical Insurance Developer to its China Portfolio:, retrieved from
https://equalocean.com/healthcare/20190830-sequoia-china-injects-cny-100-million-into-a-medical-insurance-developer参考情報:
Shine.cn(2019), Nuanwa Technology raises over 100 million yuan, retrieved from
https://www.shine.cn/biz/finance/1908291089/