オンライン・エデュケーションのMaster Class, 業界セレブからのQ&AセッションをVOD配信開始

この数年、FacebookなどでMaster Classの広告を目にした人も多いのではないか?

このサービスは、完全オンラインによるオンライン・エデュケーションを提供するのだが、ちょっと普通の教育とは方向性が違う。いわゆる大学ではないし、社会人ウェビナーとも少し違う。その特徴は、華やかな業界のスタープレイヤーたちによる「マスターの技」の伝授を目的とした、オンライン専門の教育プログラムである。

講師陣は強烈である。芸術家や写真家、テレビプロデューサーや作曲家、歌手、そしてスポーツ選手やFBI捜査官まで幅広い。

例えば歌の講師としてクリスティーナ・アギレラ、テニスのセリーナ・ウィリアムズ、バスケのステフィン・カリー、クッキングはミシュラン三ツ星シェフのゴードン・ラムゼイなど各方面のスター達が直接レクチャーしてくれるという。

同社はこの度、無料オンラインQ&Aセッションを各種ビデオ・オン・デマンド上で開始すると、Techcrunchなどが報じた*1。同誌の報道によると、Master Classは現在80クラスを運営中で、第1回目の無料Q&Aは元FBIの主任交渉員だったChris Vossによるネゴシエーション技術のクラスで、質問をオンラインで集め、これに答える形式で水曜日にライブ放送を行うという。

 

同じくTechcrunchの別の報道によれば、Master Classは創業以来急成長を続け、2018年には約8000万ドルの調達に成功している*2 。一方、ドキュメンタリー番組と教育の中間を縫ったような新しい番組提供コンセプトはリリースから数年、様々な聴衆を引き寄せてきたが、大学のオンライン化が進み、NetflixなどのVOD企業が様々な教育プログラムを提供し始め、まして無料ならばYoutubeだってある昨今では、生き残りの競争は厳しいだろう。MasterClassは、テレビコンテンツという世界に新しい収益スキームがもたらされるのか、を説いているのかもしれない。すなわち、「学べるオンライン・エンターテインメント」に、人は対価を払うのか?である。知識の習得に対価が必要なのは世界共通の認識であろうが、対面でもなく、インタラクティブでもなく、学位取得もできない。言い換えれば、BBCやNHKのドキュメンタリー番組に人はお金を払うのだろうか?少なくとも我々はTEDにはお金を払ってはいない。

 

引用情報:
*1
Techcrunch(2020), MasterClass is launching free, live Q&A sessions with big shots in their respective industries, retrieved from
https://techcrunch.com/2020/03/22/masterclass-is-launching-free-live-qa-sessions-with-big-shots-in-their-respective-industries/
*2
Techcrunch(2020), MasterClass raises $80M after doubling sales last year, retrieved from
https://techcrunch.com/2018/09/06/masterclass-raises-80m-after-doubling-sales-last-year/

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