パン業界のDXを推進する「パンフォーユー」とは?
遠くのパン屋さんにはなかなか行けない、コロナ禍で近くのパン屋さんにも行きづらくなった―――そんな問題を解決するのがパンフォーユーのサービスだ。
「パン屋さんの課題に向き合い、新たな喜びを共に創る」をミッションとして、パンフォーユーは独自の冷凍とITの技術で、地域のパン屋の課題解決と新たな挑戦をサポートしている。パン屋の「パンを焼く」以外の作業を効率化するため、独自開発のシステム「パンフォーユーモット」を提供。発送スケジュール、食品表示、伝票作成などの業務を一括管理している。
2021年5月10日、AGキャピタル株式会社とKDDI Regional Initiatives Fund 1号を引受先とした第三者割当増資による資金調達を実施し、総額約8,000万円でシリーズAラウンドの第2回を終了し、併せて、調達総額約2.6億円でシリーズAラウンドの完了を発表した*1。
パンフォーユーは個人向けのサービスと企業向けのサービスがあり、個人向けのサービスではパンのサブスクリプション「パンスク」がある。これはさまざまな地域のパン屋と提携し、1回2900円プラス送料で全国のパン屋の自慢のパンが食べられるサービスだ。ライフスタイルに合わせて届く頻度を変えたり、スキップしたりできるのも嬉しい点だ。テレビなどの紹介による影響を受け、予想を大幅に超える申し込みがあったようで、パンスクへの登録は現在順番待ちとなっている。魅力的なサービスに、思わず筆者も整理券の登録をしてしまった。
企業向けのサービスは、全国のパン屋からオフィスにパンを冷凍で届ける「パンフォーユーオフィス」、冷凍庫があれば誰でもどこでもパン屋を開業できる「ゴーストベーカリー」、小ロットからの業務用パンの企画・製造OEMサービス「パンフォーユーBiz」などさまざまなサービスを展開している。
今年2月にはソーシャルギフト事業を展開するギフティと連携し、個々のリテールベーカリーでは難しかったソーシャルギフト市場への参入を進めることを発表した*2。
出典:株式会社パンフォーユー https://panforyou.jp/features
また、パンフォーユーの冷凍パンは同社独自の冷凍技術により、焼成のあと1日常温で置いたパンよりも品質が高いことが一般社団法人日本食品分析センターの検査で実証されている。さらに、彼らが独自に開発した「パンを入れる袋」と「冷凍するタイミング」により、パンを焼き立ての状態で届けることを可能にしている。この2つの特徴によって、パンフォーユーは焼きたての品質を保ったまま1カ月以上の保存が可能となる。業務一括管理システム「パンフォーユーモット」と組み合わせることでパン作り以外の作業効率化も実現する。
店を構え、パンを焼き、そして売ることが一般的とされたパン業界で、これらのサービスはパン屋経営のビジネス構造そのものの変革に挑戦している、といっても過言ではないだろう。また、購入者側も、地元のパン屋以外の、遠くのさまざまなパン屋のパンが気軽に食べられるという、今までには考えられなかった利点がある。コロナ禍という情勢も相まって、パンフォーユーはますますパン業界のDXを推進していくだろう。
参考情報:
株式会社パンフォーユー(2021), https://panforyou.jp/
パンスク(2021), https://pansuku.com/
INDUSTRY CO-CREATION(2021), 「パンフォーユー」は、独自の冷凍技術で、拡大するパン市場と供給ギャップの課題に挑む(ICC FUKUOKA 2021), retrieved from https://industry-co-creation.com/catapult/66895引用情報:
*1
PRTIMES(2021),パン業界のDXを推進する「パンフォーユー」、総額約8,000万円の資金調達を実施し、シリーズAラウンド第2回終了 , retrieved from https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000078.000023945.html
*2
PRTIMES(2021), ギフティ、株式会社パンフォーユーと資本業務提携契約を締結, retrieved from https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000169.000004529.html
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