Slackより直感的な福岡発のカード型チャットpostalk、資金調達
KJ法というものがある。付箋やポストイットにいろんなアイディアを書き込み、ホワイトボードに貼り付けてグループ分けしたりする。ブレインストーミングや企画会議などで情報を整理するために用いられ、もはや一般的な方法論であるとも言える。
 
これをブラウザ上で行えるツールがpostalkである。
 
postalk株式会社は2018年に河野洋平氏と平間清彦の2人で立ち上げられたスタートアップ。彼らがリモートワークで開発プロジェクトを行っている際、ホワイトボードが使えないことの不便からpostalkのアイディアが生まれた。同社はプレシードラウンドで2,250万円を調達。出資参加したのは、ドーガン・ベータと FGN ABBALabである
 Closeup of hands of young man in checkered shirt using mobile phone while his partners arguing
 
Bridgeのインタビューによると川野氏は、デジタルビジネスは必ずしもテックギークだけで構成されていない、ということを痛感していたという。彼はBridgeのインタビューで下記のように答えている*1。
 
「渋谷とかにいると、Zoom や Slack は使えて、ひょっとしたら GitHub さえも使えて当たり前みたいな風潮がある。でも、福岡に戻ってきて、だいぶ違うことがわかった。ギークなものが好きな人だけで盛り上がっているのは良くないし、既存のツールだけだと、ギークではない人と一緒に仕事するのは大変。道具の方がもっと開かれていないといけないと痛感した。」
 
これは地方と都心のギャップだけを意味しているわけではない、と筆者は考える。
実際、現代の世の中にはドローイングツール、すなわちブラウザなどで描画するサービスは多い。iPadだってそうだ。しかし、これらを使いこなしているのは一部のデジタルネイティブか、デジタルツール大好きおじさん達であろう。そして、それらのツールはどんどん進化し、淘汰され、目まぐるしく変わる。その度に、「うちはこれ使ってやってますんでアカウント登録してください」となり、気がつけば数十種類のツールを使い分けてコミュニケーションすることになる。
ビデオ会議ではZoomとGoogle Meetを使い分け、チャットではSlackとChatworkを使い分け、ここにMicrosoft Teamsなんかも加わる。プロジェクト管理ツールもいっぱいある。オンラインのブレストでは、オンライン会話とテキストチャット主体。一部ホワイトボード機能もあるが別料金だったり契約グレードを上げる必要があるし、説明のために結局パワーポイントで資料を作らねばならない。
 
こういったことは会議室に集まってホワイトボードに付箋を貼れば一発で解決するのだが、このコロナ渦ではそうもいかない。そして、このパンデミックが過ぎ去ったとしても、リモートワークの流れは後退することはないだろう。少なくともエンジニアの世界では、リモートワークなんか当たり前である。問題は、そのリモート慣れした、現代のギークたちの方法論になかなか適用できない「普通の人々」のデジタルシフトにほかならない。
 
designer hand working with  digital tablet and laptop and notebook stack and eye glass on wooden desk in office
 
日本中、どこの企業もDXをうたい始めているが、少なくとも地方や外国の優秀な人材とリモートで仕事をできないようでは、デジタル人材が枯渇しはじめている日本でDXを実現することは不可能に近い。そして、コロナ渦で「この仕事は家でもできる」「むしろ家でやったほうが捗る」と気づいたエンジニアは多く、リモート前提の開発の流れは主流となっていくだろう。
postalkがもたらすことは大きい。普通の人が同じ盤面を見て意見の整理ができる。また、開発プロジェクト管理にも活用できる(スプリント開発などではタスクを付箋化し、着手前、作業中、完了などに分けてホワイトボードに貼るようなプロジェクト進捗管理が取られることが多い)。これをオンラインで出来る。slackの操作方法に四苦八苦したりチャットの山に埋もれるよりも、よほど直感的でスムーズである。
 
また、料金体系もユニークである。postalkは今流行りのサブスクリプション型を獲っていない。ボードと呼ばれるホワイトボードを購入する形で料金が発生する。20人までアクセス可能なボードが1枚55円。最大のXLでも550円(500人アクセス可能)である。議題ごとにボード、すなわち議論の盤面を買う感覚である。むしろ、会議室に一つだけしか無いホワイトボードよりも便利かもしれない。
 
DXは技術革新に争点があつまりがちだが、エンジニアがスムーズに活躍でき、非エンジニアも参加できるコミュニケーションの場を作ることもまた、同じくらいに重要であろう。
 
 
引用情報: 
*1
Bridge(2021), 福岡生まれのカード型チャットツール「postalk」、ドーガン・ベータとFGN ABBALabからプレシード調達, retrieved from
参考情報:
postalk park
postalk

 

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