Walmart、自動運転配送でFordと再びタッグを組む
Walmartは自動運転車両による配送サービスのテストを開始すると発表。場所はマイアミ、オースティンそしてワシントンD.C.。同地区に居住するWalmart顧客は、Walmart.comおよびアプリで注文すると、フォードの自動運転車が商品を届けに来てくれる*1。顧客は、アプリで到着車両のナンバーを確認し、後部座席から自分の荷物を取り出す。これは実証実験ではない。エリア限定ではあるが、テストサービスとして提供開始の予定で、2021年後半にはテストエリアを拡大していくという。上記の3つの都市は、自動運転車両の運行が認可(もちろん申請と許可が必要)されている地域でもあり、GoogleやUberなどのテストも行われている。
Walmartは自動運転配送に積極的である。2018年にはマイアミでフォード社と、アリゾナ州でWaymo(Googleからスピンアウトした自動運転車両技術の会社)と実証実験を行い、2020年には同じくアリゾナ州でGM(ゼネラルモータース)の電気自動車部門の子会社であるCruiseとの提携を発表している*2。
今回のテストにおいて、自動運転車両を制御するのはArgo AIである。同社はかねてよりフォード社との各種実験を重ねている。Argo AIは今年8月、ライドシェア大手のLyftとのロボットタクシーによる実証実験を発表しているが、このときの車両もフォードである。Argo AIはEC受発注プラットフォームと接続可能なクラウド「ArgoWatch」を提供しており、Walmartは本テストで、自社プラットフォームとこのArgoWatchを接続する。
Walmartが自動運転車両のテストに積極的なのは、将来的なドライバー不足を見込んだラストワンマイル対策とも言われている。UberやLyftなどのライドシェア、UberEatsやDoorDashのようなフードデリバリー、そしてAmazonが囲い込む配送員ネットワーク。そして、増え続ける宅配需要。近い将来を見渡したとき、ドライバーの取り合いは確実である。なにより、配送拠点を分散配置するマイクロ・フルフィルメントを推進しているWalmartにとって、安定的かつ高効率で精密なロジスティクス運用は極めて重要な要素となるだろう。Walmartは数十マイルの中距離配送の自動運転テストも行っているが、最も重要視しているのはラストワンマイルとなる数マイルの配送であることは間違いなく、今回の3つのテスト場所はいずれも都市部である。
宅配需要が集中する都市部において、今回のWalmartのテスト結果がどのようなアドバンテージを発揮できるのか注目するところである。
引用記事:*1
Techcrunch (2021), Walmart to launch autonomous delivery service with Ford and Argo AI, retrieved from https://techcrunch.com/2021/09/15/walmart-to-launch-autonomous-delivery-service-with-ford-and-argo-ai/*2
Walmart(2020), Walmart Invests in Cruise, the All-Electric Self-Driving Company, retrieved from https://corporate.walmart.com/newsroom/2021/04/15/walmart-invests-in-cruise-the-all-electric-self-driving-company*3
Forbes(2021), 「自動運転宅配」の実現目指すウォルマートとアルゴAIの野望, retrieved from https://forbesjapan.com/articles/detail/43442
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