データベースは消防士を支えるDXとなるか?
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世界では森林火災が深刻化している。

オーストラリアで2019年7月から2020年1月にかけて発生した火災の類焼面積は107,000平方キロメートル(1,070ヘクタール)米西部では2020年8月以降に多数発生した火災で16,000平方キロメートル(160万ヘクタール)を超える被害が出ている*1。

もともと森林火災自体は熱波の起こる季節には自然に発生していたものであるが、この被害面積や規模は年々広がっているのだという。それは気候変動により乾燥した森に極端な熱波が訪れること、乾燥に伴った虫の大発生により大量の枯木が出来上がり燃えやすい環境が整ってしまうことなどが大きな要因とされている*2

日本のニュースでも国内の森林火災のトピックスが繰り返し報道されたことは記憶に新しい。

この森林火災問題を解決するために、現在いくつもの企業や団体が奔走している。その中でデータとAIを利用してより効果的な消火活動をサポートする技術の提供を目指すCornea(コーニー)というスタートアップ企業がある。2018年、公共政策のイノベーション、すなわちGovTechに特化したベンチャースタジオのHangar(ハンガー)が、同社直営の子会社としてニューヨークで設立された。

Hangerはテクノロジーを効果的に使いこなせていない政府の課題を解決するスタートアップ企業の支援育成をミッションとしている*3。

Corneaのウェブサイトでは、USGS(アメリカ地質調査所)から提供された3Dモデルの地形をベースに、天気、赤外線情報、燃料となる森林状況や延焼確率、潜在的制御ラインなどを視覚化したデモを見ることができる。

そのデータの提供元はNWS(アメリカ国立気象局)、NASA(アメリカ航空宇宙局)、USDA FS(アメリカ森林局)、DHS(アメリカ合衆国国土安全保障省)などの政府機関に加えて、アメリカで最もポピュラーなカーナビアプリのWazeなどが挙げられている。

 

信頼できるデータ情報と過去の火災データを可能な限りシンプルに活用し、森林火災の現場でどこに重点を置いて消火を行うべきか、いつどこで退却するべきかをAIに学習させ消火活動を誘導することで、消防士の決定・決断をサポートするという。

Techcrunchによると、同社は2021年2つの主要プロダクトを立ち上げる予定だ。

 

「Suppression Difficulty Index(鎮圧困難インデックス)」

地理の影響で火が勢いづくなど、消火活動が非常に危険になるエリアを記したマップ

 

「Potential Control Lines(潜在的制御ライン)」

防火帯やその他の活動が火を押し戻すかもしれない、すなわち大規模な消火を成功しやすいロケーションを記したマップ

 

これらは植生や地形その他の可能性のあるデータを駆使して割り出し、現場の消防士だけではなく戦略的消火活動の司令塔である消防作戦センターにも多大なる影響を及ぼすと考えられる。

Corneaの研究は一部連邦研究助成金を利用してプロダクトを構築し、2021年には現場で実際に稼働させるために森林局や州消防当局との協業を希望している。

人間が作り出した環境の変化とともに森や環境、さらにそこで生きる全てのものを守るために消防のDXは求められているのかもしれない。

 

[引用情報]

*1
Wikipedia(2021),オーストラリア森林火災 (2019年-2020年) , retrieved from
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%82%A2%E6%A3%AE%E6%9E%97%E7%81%AB%E7%81%BD_(2019%E5%B9%B4-2020%E5%B9%B4)
共同通信(2020),米西部の山火事、50万人避難も, retrieved from
https://this.kiji.is/677395163987199073?c=39546741839462401
*2
BBC NEWS JAPAN(2020),カリフォルニアの山火事、「気候変動で加速」科学者が警告, retrieved from
https://www.bbc.com/japanese/54290558
*3
Techcrunch(2020),GovTechのスタートアップ育成するベンチャースタジオのHangarが15億円超を調達, retrieved from
https://jp.techcrunch.com/2020/08/21/2020-08-19-hangar-raises-15-million-for-its-venture-studio-for-government-technology-startups/

[参考情報]

Techcrunch(2021),山火事の消火活動を機械学習と過去データを駆使して効果的なものにするCornea, retrieved from
https://jp.techcrunch.com/2021/03/04/2021-03-02-cornea-eyes-in-on-fighting-wildfires-using-better-data/
Cornea(2021)
https://cornea.is/

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