宿泊DXの旗手Cloudbeds、Webサイト制作機能を追加

クラウドベースで宿泊施設のホスピタリティマネジメントを提供するCloudbedsは、ホテルWebサイトの設計から制作までを可能とする、Cloudbeds Web Siteをこの8月にリリースした。

Cloudbedsは2012年、サンディエゴで設立したスタートアップ。大型ホテルからユースホステル、民泊提供者まで幅広いサイズの宿泊施設経営者に向けて、予約・決済・施設管理などの管理機能をワンストップで提供するクラウドサービスであり、様々なプラグインを利用して自社独自のサービスを提供できる。いわば、宿泊業界のShopifyとも言える存在である。これまでに980万ドルを調達しており、2020年11月のシリーズCには、日本からリクルート社が出資参加している。

 

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リンク:Introducing Cloudbeds Websites(2021)
https://www.youtube.com/watch?v=lOm1krBqRq4

これまでCloudbedsが提供してきたサービス価値の軸は、施設管理のPMS(Property Management System)、100以上のOTA(オンライン旅行代理店)へ客室在庫の出品管理を可能にするChannelManager、決済からフォローアップまでメール配信を自動化するWorkflow & Email Automation、そして手数料なしのBooking engineすなわち予約システムであるが、Cloudbedsのサービスは、Essentials、 Plus、Premier、Enterpriseの4つの課金形態すべてで上記システムを利用でき、今回発表されたCloudbeds Websiteもこれと同様に提供される予定である。

現代の宿泊施設経営は、OTAと切っても切れない関係にある。ExpediaやBooking.comに登録されていなければ、客室在庫をさばくことは不可能に近い。複数のデジタルチャネルに在庫を提供し、予約管理を行うことはアナログ処理では不可能である。このため、多くの宿泊施設経営者は独自のPMSや予約システムを導入し、OTA連携のためにコストを費やしてきた。そしてその利益はOTAへの手数料で削られていく。
そんな中、Google Hotelsが掲載・手数料無料を開始して、各宿泊施設への直接誘導モデルを開始したが、当の宿泊施設側に予約システムが整備されていない場合、この手数料無料の恩恵には授かれない。Cloudbedsは、OTA管理と直接予約獲得を両立させるべく、各宿泊施設専用の予約機能付きWebサイト構築機能を提供している。

このCloudbedsのモデルはShopifyに極めてよく似ている。他チャネルと連携を前提としたプラットフォーム環境を提供し、基本的な管理機能を網羅。連携開発はプラグインでノーコード開発が可能である。大手企業しか持てなかったデジタルの管理環境をサブスクリプションで提供可能とし、小規模プレイヤーがデジタル市場に参加する裾野を広げる。Amazonに支配されていた小売業をShopifyが開放しようとしているように、CloudbedsはOTAに支配された宿泊業界を次のステージに導こうとしている。

 

参考情報:
*1
GlobalNewsWire(2021), Cloudbeds Launches Websites, A Complete Website Design and Development Solution, retrieved from
https://www.globenewswire.com/news-release/2021/08/31/2288758/0/en/Cloudbeds-Launches-Websites-A-Complete-Website-Design-and-Development-Solution.html
*2
Cloudbeds(2021)
https://www.cloudbeds.com/

 

 

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