サプライチェーン管理ソフトウェア会社source dayが大規模調達

コロナ禍中、企業のキャッシュフローは世界レベルで大いに悪化したが、その最たるものはサプライチェーンによるものだろう。国と国が分断し、流通網が制限され、予定通りの資材調達ができない。船便が止まり、航空便にスイッチすればロットは下がり、単価は上がる。中国からの調達が止まれば、他の配分を上げなければならないが、在宅勤務になっていれば電話やFAXは通じず、メールは滞る。やっと調達できた資材の入荷予定を読み、原価率を計算し直して商品売価を再設定し、利益予測を立てるために、バラバラの注文データをかき集め、ERPなどの経営管理ツールに入力する。予測が立った頃には状況が変わり、売れ残りや売り逃しにつながる。
販売サイドの売り上げ低迷に注目が当たりがちなコロナインパクトだが、現在のサプライチェーン管理のあり方にも大きな課題を残している。

その渦中、クラウド型サプライチェーン・マネジメント・システム(SCM)を提供するSourceDayが1250万ドルの調達に成功した。同社のキーワードはException(例外)とCollaboration(協調)である。すなわち、キャッシュフローや売上のリスクになり得る「例外的な」調達取引をはじき出してレポートする仕組み(PO Exception)と、個別のメールやスプレッドシートを使わず、バイヤーとサプライヤーが同じ環境の上で取引情報を交換する仕組み(PO Collaboration)を提供する。
また、彼らは、主力商品であるPO(Purchase Order=注文書)ベースのサービスに加え、RFQ(Request For Quotation=見積り依頼)、AP(Account Payable=買掛金)の管理である。

 

 

彼らが注目するのは注文書を起点とした各種決済行為における書面の管理であり、データ化であり、データ分析によるリスク算出である。これまでのSCMの多くは、データが正しくエントリーされることを前提としていたが、同社はこのやり取り自体をコラボレーション・プラットフォームの中で成立させて、全てを一意のデータ化する。もし、全てのサプライヤーがこれに加盟してくれるなら、調達や経理部門のナンセンスな仕事(注文書の間違いや目視確認、再送要求)などを大いに削減できるし、何より受発注データはリアルタイムにRFPにつながり、リスク算出と意思決定が高速化する。ただし、これはコインの表と裏のようなもので、サプライヤーは自分たちのフォーマットをできれば変えたくない。従来型の紙ベースの慣習に縛られたり、営業が出す個別フォーマットの見積もりを制約できなかったり、理由は様々である。

それがコロナ禍によって大きく変わり始める、という判断が、彼らへの投資を生んだとも言えるだろう。コロナ問題は世界的に長期化必至であり、どの国がいつ平常運転に戻るかも、再びロックダウンとなるかもわからない。サプライヤー側は外出自粛で個別交渉ができなくなるかもしれないし、正規の見積もりを発行するために出社して社内LANにアクセスできなくなるかもしれない。何より、通常と異常が激しく変化する状態では仕様変更が圧倒的に増えるので、書類作成だけでなく、その変更履歴を追うだけでも至難の業になる。そしてこれらの全てはリモートで行えなくてはならない。以前、サプライヤーにとってバイヤー側のSCM傘下はデメリットが多かったが、今となってはメリットのほうが高いのだ。そしてSourceDayのサービスは従来型のSCMのようなバイヤー側のデータ分析と効率化を主体としたものではなく、書面管理とデータ化にフォーカスしておりサプライヤー側のメリットも大きい。クラウド型なので、様々なERPに接続しやすく、連携開発が安価に済むという利点も持ち、サプライヤー側のオンボーディング支援(使えるようになるためのトレーニング)も行う。

SourceDayはこういった状況下、”COVID-19 Offer”という90日間利用無料キャンペーンを提供し、販路の拡大を開始している。コロナ禍は、過度に複雑化かつ最適化されたサプライチェーンの脆弱性を浮き彫りにした、という指摘もある。一方でそれは巨大バイヤーサイドの視点でしかないとも言えるだろう。少なくともサプライヤーサイドは未だDXに苦しんでおり、巨大バイヤーの効率化のために、大いなる無駄を人力で回している不条理が圧倒的に多く存在している。サプライチェーンは、サプライヤーサイドに視点があたって、初めて成就するかもしれない。コロナ禍はその大きなきっかけとなり、SourceDayはその流れに乗ろうとしている。

 

[参考資料] Techcrunch(2020), Austin-based SourceDay closes $12.5 million for its supply chain management software, retrieved from
https://techcrunch.com/2020/04/07/austin-based-sourceday-closes-12-5-million-for-its-supply-chain-management-software/

SupplyChaiDigital(2019), SourceDay: There's no crying in supply chain management, retrieved from
https://www.supplychaindigital.com/scm/sourceday-theres-no-crying-supply-chain-management

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